国の特別天然記念物で絶滅危惧種のアホウドリの近縁種クロアシアホウドリが、東京・八丈島近くの八丈小島で繁殖に成功したことを樋口広芳東大名誉教授らの研究グループが確認し、2日に発表した。繁殖する地域が重なる傾向にあるアホウドリの新繁殖地となることが期待される。
樋口名誉教授は「繁殖の確認で、八丈小島は世界最北端のクロアシアホウドリの繁殖地となった。今後の環境保全の進め方に関心を持ってもらいたい」と話した。
研究グループによると、無人島の八丈小島で今年1~2月、8組のつがいが産卵した卵の一部が孵化。4月末時点で、2羽のひなが成長している。八丈小島では平成25年以降に渡来や産卵が確認されていたが、ひなの成長は確認されていなかった。アホウドリの主な繁殖地の伊豆諸島・鳥島は、活火山の噴火によって絶滅の可能性が指摘されている。研究グループは「将来、八丈小島でアホウドリも繁殖するのではないか。カラスなどの捕食対策が重要になる」としている。