国会で、高高度核爆発によるEMP攻撃に警鐘を鳴らした国会議員は過去1人しかいない。衆院議員当時の小池百合子東京都知事である。
小池氏は「北朝鮮の核開発が注目されるが、EMP爆弾というものがある。電磁パルスが日本を襲ったときにどうなるか。金融機関とか交通、あらゆる社会的なシステムが停止する。どれくらいの被害を想定し、いつまでに政府としてどこが中心になって何をやるのか」(10年1月22日、衆院予算委)と、当時の民主党政権にただした。
これに対するはかばかしい答弁はなかった。今に至るまで、政府は脅威かどうかの本格的な検証をしていないと思われる。
核爆発による直接的な死傷者以上の「メガデス」を招きかねないのなら、EMP攻撃は核抑止の対象だと日米両政府は明確にすべきだ。弾道ミサイルや航空機が高高度に達する前に迎撃する能力も欠かせない。
ただ、政府には防衛省・自衛隊にとどまらない取り組みが求められる。電子機器・回路にはEMP対策として技術的に防護を施せるという。政府は被害想定を見積もり、国民を守るために必要との判断に至れば、経済対策にもなると割り切って防護策に乗り出すべきではないだろうか。