宇宙誕生の謎を探る高エネルギー加速器研究機構の加速器施設「スーパーKEKB」(茨城県つくば市)に高性能の新測定器が取り付けられた。従来の施設は2008年の小林誠、益川敏英両氏のノーベル賞受賞に貢献しており、今年11月に開始する新実験の成果に期待がかかる。
宇宙誕生時には現在の宇宙の物質を作っている粒子と、その反対の性質を持つ反粒子が同じ数だけ生まれたとされるが、現在の宇宙には粒子しか存在しない。
反粒子が消えた理由は小林・益川理論で一部が解明されたが、それだけでは宇宙全体の物質の量を説明できず、新たな理論の構築が大きな課題になっている。
スーパーKEKBは電子とその反粒子である陽電子を高速で衝突させ、宇宙誕生時のビッグバンを再現する装置。従来の装置と比べ40倍の効率でデータが得られる。設置した新測定器は衝突で生じる粒子の識別能力が高く、さまざまな新理論で予想されている物理現象を検証できるとみられる。
足立一郎准教授は「全く予想されていない未知の現象から来ている効果を発見し、ノーベル賞を取りたい」と意気込んでいる。(原田成樹)