【マンチェスター=岡部伸】英人気スパイ映画「007」シリーズで、主人公のジェームズ・ボンド役として活躍した英俳優、ロジャー・ムーア氏が23日、スイスの自宅で死去した。89歳。がんを患っていたという。3人の子供が公式ツイッターで明らかにした。ムーア氏の遺志により、モナコで内輪の葬儀が行われるという。
1927年、ロンドン生まれ。映画にエキストラ出演したのをきっかけに、40年代から俳優としての活動を開始。50年代に渡米し、「セイント 天国野郎」「ダンディ2 華麗な冒険」などのテレビシリーズや、映画「雨の朝巴里に死す」などに出演した。
73年に「007」シリーズの3代目ジェームズ・ボンド役に抜(ばっ)擢(てき)され、70~80年代にかけ「私を愛したスパイ」「死ぬのは奴らだ」「黄金銃を持つ男」「ムーンレイカー」「ユア・アイズ・オンリー」など、歴代ボンド役俳優の中で最多となる7作品に出演した。
国連児童基金(ユニセフ)の親善大使を務めるなど、ボランティア活動にも積極的に関わり、2003年にはナイトの称号を与えられた。07年にはハリウッドの殿堂入りを果たした。
日本でもトヨタ「コロナ」のCMキャラクターを務めるなど人気を博した。