【専欄】官僚集団と一般民衆の対立 元滋賀県立大学教授・荒井利明 (1/2ページ)

2017.5.30 05:00

 新華社(中国の国営通信社)の記者だった楊継縄が昨年末に香港で文化大革命(文革)に関する著作を出版した。「天地翻覆」と題されたこの本は上下2冊、1150ページ、85万字に及ぶ大作である。元の職場からは出版しないようにとの圧力もあったようだが、文革とその後の中国に関心のある者にとっての必読文献と言ってもいいだろう。

 文革が始まった1966年、楊継縄は北京の清華大学の学生で、翌67年末まで大学で文革に参加した。68年以降は就職先の新華社で記者として文革を取材、報道した。そうした体験がこの本に生かされているのは言うまでもない。

 楊継縄は2008年に「墓碑」と題する著作を香港で刊行している。これは共産主義社会の早急な実現をめざす非現実的な政策が招いた1960年前後の大飢餓時代を描いたもので、楊継縄は、当時の中国における餓死者は3600万人にのぼると記している。この本は日本でも「毛沢東 大躍進秘録」の題で、2012年に翻訳出版されている。

 楊継縄は、共産党の官僚集団と一般民衆の対立を中国社会の主要な矛盾ととらえており、「文革の最終的な勝利者は官僚集団だった」と結論付けている。

 毛沢東は一般民衆に呼びかけていったんは「資本主義の道を歩む実権派」という特権的な官僚集団に打撃を与えた。だが、毛沢東は結局のところ、官僚集団の上に君臨する独裁者であり、いつまでも造反を支持して内乱状態を続けるわけにはいかず、官僚集団による統治に戻らざるを得なかったのである。

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