羽をゆっくり閉じたり、開いたりするチョウの軽やかな動きを再現するロボットを東京大の研究チームが試作した。金属など硬い部品を使わない「ソフトロボット」で、厚さわずか135マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の合成樹脂フィルムで作った。
胴体部分に導電性インクでヒーターや配線を印刷。その上に、低温で沸騰するアセトンなどの液体を入れた長さ8センチ、幅2・5センチの合成樹脂フィルム製の袋を張りつけモーターにした。
ヒーターに電気を流し温度が34度以上になると液体が気化。膨張して袋の両端が持ち上がり、羽を閉じる駆動力となる。電気を切ると液体に戻って羽が開く。
小指を曲げるのと同じ程度の力を発生し、最大動作角度は90度。チョウのほか食虫植物ハエトリソウのロボットも試作した。今後は加熱方式を工夫し、動作速度や出力を向上させる。
多様な分野にロボットが進出する中、人とぶつかっても安全で壊れにくいソフトロボットは研究が急速に進んでいる。川原圭博准教授は「人間とロボットの共存をより安全で豊かにするだろう」と話している。(伊藤壽一郎)