米グーグル親会社の研究部門「X」が世界救うか 塩と不凍液で再生エネルギー貯蔵に取り組む (3/3ページ)

マルタのエネルギー貯蔵システムのイメージ図(X提供)
マルタのエネルギー貯蔵システムのイメージ図(X提供)【拡大】

 Xが開発する電力貯蔵装置は4本の円筒形タンクを持ち、パイプを介してヒートポンプに接続されている。製品責任者のジュリアン・グリーン氏は「簡単に言えば、冷蔵庫とジェットエンジンを組み合わせたようなものだ」と話す。

 仕組みはこうだ。2本のタンクに塩、残りの2本に不凍液を満たす。再生可能エネルギーによる発電電力を取り込み、高温空気と冷気に変換する。高温空気が塩を加熱し、冷気が不凍液を冷やすという仕組みで、少し冷蔵庫に似ている。スイッチを入れてプロセスを逆転させると、高温と低温の空気がぶつかり合って突風が生じる。この突風がタービンを回転させ、需要に応じて電力を供給する。塩が適温を保ってくれるため、数時間から数日はエネルギーを貯蔵できるという。

 科学的に実証済み

 こうした貯蔵法が可能であることは科学的に実証済みだ。マルタの功績は、低温で運用できるシステムを設計したことにある。高コストの特殊なセラミックや鋼鉄は必要ない。「安価な素材で適切な温度を維持できれば、魅力的な技術になる」とグリーン氏は話す。

 マルタの構想を生み出したのはノーベル物理学賞受賞者のロバート・ラフリン氏で、現在は顧問として同計画に携わっている。数年前にある会議で同席したXの代表者らにこの考えを提案したことからプロジェクトが生まれた。同氏は当初、起業を目指して大手IT投資会社に出資を打診したが応じてくれなかった。最終的にシステムを購入することになる保守的なエネルギー業界の厳しい要求に対処したくなかったのだろうと同氏は推測している。

 Xはこれまでの投資額を明かしていないが、ラフリン氏にとっては十分なようだ。「突然訪れた神の恵みだ。Xが登場し問題を引き受けてくれたのだ」(ブルームバーグ Mark Bergen)