電通違法残業事件22日初公判、その意義は? 「他の企業にも警鐘」「世論意識だと疑問」

1月、沈痛な面持ちでコメントを読み上げる高橋まつりさんの母幸美さん=厚労省
1月、沈痛な面持ちでコメントを読み上げる高橋まつりさんの母幸美さん=厚労省【拡大】

  • 7月、労働環境改革基本計画を発表する電通の山本敏博社長=東京都中央区

 大手広告会社の電通(東京)の違法残業事件で、労働基準法違反罪に問われた法人としての同社の初公判が22日、東京簡裁で開かれる。出廷する山本敏博社長は起訴内容を認める方針で、争いはない。ただ、同社の事件後の姿勢や再発防止策などが情状として考慮され、求刑や量刑に影響する可能性もある。公判では改めて事件への電通の認識が問われそうだ。

 公判を開かず書面審理のみで罰金刑を科す検察側の略式起訴に簡裁が待ったをかけた異例の裁判。司法統計によると、平成27年に略式起訴された事件のうち正式裁判になったのはわずか0.02%だった。

 簡裁が「略式不相当」と判断した理由は明らかにされていない。検察側は改めて罰金刑を求めるとみられ、公判は1時間ほどで即日結審する見通しで、法務・検察内からは「裁判にあまり意味があるとは思えない」といった否定的な声も聞かれる。

 元東京地検特捜部検事の高井康行弁護士は「裁判官は世論を意識して正式裁判に回したと考えられ、仮にそうだとすれば、本来、司法がそのような判断をしていいのか」と疑問視する。

 これに対し、過労死問題に詳しい松丸正弁護士は「労基法違反事件はこれまで軽微な罪とみられていたが、公開の法廷で会社の責任が問われる意義は大きい」と指摘。「公判になれば他の企業に大きな警鐘を与え、自浄作用を促す効果もある」と期待する。

 起訴状によると、電通は27年末に過労自殺した新入社員の高橋まつりさん=当時(24)=ら社員4人に対し、電通本社の労使協定が定めた月50時間を超え、月最大19時間23分の時間外労働をさせたとしている。事件は政府の「働き方改革」にも影響を与え、社会問題となった。

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