認知症の早期発見、VRゲームを活用 新たな検査方法の設計を支援 (2/3ページ)

「シ・ヒーロー・クエストVR」をサムスンの「ギアVR」でプレイする人(グリッチャーズ提供)
「シ・ヒーロー・クエストVR」をサムスンの「ギアVR」でプレイする人(グリッチャーズ提供)【拡大】

  • 「シー・ヒーロー・クエストVR」の一場面(グリッチャーズ提供)

 現在、世界の認知症患者は約4700万人。世界保健機関(WHO)によると、高齢化を背景にして、2050年には1億3000万人に達する見通しだ。

 ドイツテレコムの提携団体の一つとして同ゲームの開発を支援したイギリスの認知症研究団体、アルツハイマーズ・リサーチUKで最高科学責任者を務めるデビッド・レイノルズ氏は「脳スキャンなどの結果、認知機能障害を引き起こす疾患の進行は、明らかな症状が現れる15~20年前から始まることが分かっている」と指摘する。

 しかし人間の脳の機能は極めて弾力的であり、もし損傷が徐々に広がっていても、脳がその部分を回避して情報を処理する方法を見つけてしまうため、本人がその変化を意識することはない。そして、たとえ明らかな症状が見え始め、埋め合わせの行為(慣れた場所に行くにもグーグル・マップに頼るなど)が出るようになっても、人々は何らかの理由をつけて自分をごまかそうとすることが多い。レイノルズ氏は「われわれの真の狙いは、今よりも15~20年早い段階で認知症の診断ができるようにすることだ」と述べた。

 わずか2分のプレー

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)や慢性痛の緩和など、VRが医療分野で活用されることがますます増えている。グリッチャーズでクリエーティブ・ディレクターを務めるマクスウェル・スコット・スレイド氏によると、脳科学分野でもすでにVRを用いた実験が行われている。しかし「シー・ヒーロー・クエスト」がもたらすデータは桁違いの規模になるだろう。ドイツテレコムの声明によると、同ゲームをわずか2分間プレーするだけで、研究室で行う5時間分の実験に相当するデータが収集できる。

年齢とナビゲーション能力の間に強い関連性