認知症の早期発見、VRゲームを活用 新たな検査方法の設計を支援 (3/3ページ)

「シ・ヒーロー・クエストVR」をサムスンの「ギアVR」でプレイする人(グリッチャーズ提供)
「シ・ヒーロー・クエストVR」をサムスンの「ギアVR」でプレイする人(グリッチャーズ提供)【拡大】

  • 「シー・ヒーロー・クエストVR」の一場面(グリッチャーズ提供)

 ドイツテレコムとグリッチャーズは昨年、同ゲームの非VR版のモバイルアプリをリリース済みで、すでに300万人のデータを収集した。スイス連邦工科大学チューリヒ校のクリストフ・ヘルシャー教授(認知科学)によると、これは研究者たちの予想をはるかに上回る数字である。それ以前は600人のボランティアから集めたデータが最大だったのだ。

 膨大なデータのおかげで、同教授をはじめとする科学者たちは、人々のナビゲーション能力の分布状況をより的確に把握できるようになりつつある。同教授は、この能力の基準値が確定すれば、VRゲームを用いて認知症を診断する検査方法が開発できるかもしれないと述べた。

 同教授のこれまでの研究成果によると、年齢とナビゲーション能力の間には、研究者の従来の認識を上回る強い関連性がある。モバイルアプリ版の「シー・ヒーロー・クエスト」のデータによれば、ナビゲーション能力がピークに達するのは19歳で、それ以降は少しずつ低下し、40代になると大幅な衰えがみられる。もっともこの結果は、年齢にともなう実際のナビゲーション能力の低下というよりも、若者のほうが年配者よりもスマホゲームの操作に慣れていることを示しているだけかもしれない。だからこそ、現実世界と同じように頭を動かすだけで周りを見渡せるVRゲームを使って、この調査結果を検証したいと、同教授は説明した。(ブルームバーグ Jeremy Kahn)