【寄稿】パリ協定とカーボンプライシング 日本は制度導入に向けて本格的議論を (4/5ページ)

 ■日本の成功例 東京都排出量取引制度

 果たして、カーボンプライシングは「経済活動を阻害する」のでしょうか?

 東京都が10年に独自導入したキャップ&トレード型の排出量取引制度を例に、実績と企業の対応をみていきましょう。

 東京都は02年、大規模事業所にCO2排出量の把握と報告を求める計画書制度を導入しました。05年からは、事業所の取り組みを評価・公表する制度に強化されましたが、いずれも事業者の自主的取り組みを求める形だったため、十分な削減は進みませんでした。そのため、07年に義務制度の導入を提起し、ステークホルダーとの対話などを経て、10年度から総量削減義務と排出量取引制度が開始されました。この議論の過程では、産業界から強い反対の声が相次ぎました。

 しかしいざ始まると、第一計画期間(10~14年度)になんと対象事業者全体で25%の削減を達成しました(基準値は02~07年度の間から、事業者が選択する連続3カ年平均値)。第一計画期間の削減義務率はオフィスビルが8%、工場などが6%でしたが、25%削減と大幅に目標を過達成しました。第二計画期間(15~19年度)の初年度も、基準年度比26%削減を達成しました。

 成功の背景には何があるのでしょうか。東京都が対象事業者にアンケートを行ったところ、排出量取引制度によりCO2排出削減に対する経営者の関心が高まっていることが分かりました。つまり、CO2排出削減が、「現場だけの課題から経営の課題に格上げ」された結果、目標を上回る削減を達成できたわけです。

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