【寄稿】パリ協定とカーボンプライシング 日本は制度導入に向けて本格的議論を (5/5ページ)

 アンケートでは、排出量取引制度の導入により、CO2排出削減に対する経営者の関心が高まったとの回答が7割を超え、設備更新で高効率機器を積極的に採用するようになったと回答しています。自主的取り組みでは進まなかった省エネ投資が、義務を伴う排出量取引制度が導入されたことによって大きく動いたわけです。

 しかも、対象事業者の総床面積が前年度より増加し、都内の総生産量が増加する中で、排出量削減が達成されています。東京都では、経済成長とエネルギー消費量削減というデカップリングがすでに実現されているのです!

 東京都のケースは、大規模工場がほとんどない大都市での成功例で、そのまま日本全体に当てはめることはできませんが、制度設計の工夫次第で国内全体での効果的な排出量取引制度や炭素税が考えられます。

 もはやカーボンプライシングの是非を問う議論ではなく、どのような制度が日本に適しているか、世界や東京都の経験や知見も踏まえながら、制度導入に向けた議論を本格化させるときに来ています。

 東京都排出量取引制度についての詳細はウェブサイト参照。

 http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/cliate/large_scale/index.html

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【プロフィル】小西雅子

 昭和女子大学特命教授。日本気象予報士会副会長。ハーバード大修士。民放を経て、2005年から温暖化とエネルギー政策提言に従事。

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