日本版GPS衛星 みちびき4号機、打ち上げ成功 来年4月から本格運用へ

準天頂衛星みちびき4号機を搭載し打ち上げられたH2Aロケット36号機=10日午前7時1分、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センター(草下健夫撮影)
準天頂衛星みちびき4号機を搭載し打ち上げられたH2Aロケット36号機=10日午前7時1分、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センター(草下健夫撮影)【拡大】

 日本版の衛星利用測位システム(GPS)を担う政府の準天頂衛星みちびき4号機を搭載したH2Aロケット36号機が10日午前7時1分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。衛星を予定の軌道に投入し、打ち上げは成功した。みちびきは日本の独自の測位衛星で、来年度から4基体制による本格運用が始まる。

 みちびきは電波で地上の位置を計測するための測位衛星。平成22年に1号機を打ち上げ、今年度に予定した3基の打ち上げがこれで完了。計4基で来年4月から高精度の位置情報を24時間提供する。

 車線変更などの際にセンチ単位の位置情報が必要になる車の自動運転の実用化に大きな役割を担う。後継者不足が課題の農業分野では農機の無人運転に役立つと期待される。小型無人機ドローンを使って離島に物資を輸送するなど物流面の用途も見込まれている。

 一方、今年度の3基に国が投じた開発費と打ち上げ費は計約900億円。来年度からの15年間で約1200億円に上る運用費や後継機の打ち上げも必要で、多額の予算投入に見合う需要を開拓できるかが課題だ。

 米国が開発したGPSは日本でもカーナビゲーションやスマートフォンなどで広く利用されているが、位置情報は標準で10メートルの誤差がある。みちびき4基を併用すれば誤差を最小6センチに減らせる。35年度には7基体制とし、GPSに頼らなくても誤差6センチを実現する計画だ。

 GPSは衛星が日本から離れた場所にいるときは、高層ビルや山岳で電波が遮られ測定精度が低下する。みちびきは日本のほぼ真上(準天頂)に長時間とどまる特殊な軌道を飛行するため、都市や山間部でもこうした問題が生じない。衛星を分散して配置することで精度を高めるため、3号機だけは静止軌道を飛行する。

 H2Aは30回連続の成功で、成功率は97・2%に向上し信頼性を高めた。