また、「なぜ?」と聞かれると、「理由を問われている」ではなく「何か責められてる!」と捉える傾向が我々男性にはあります。したがって、ますます彼の殻のトゲが固くなってしまう可能性が高いわけです。
そこでオススメしたいのが、「なぜ?」と問う代わりに、「あなたに不機嫌になられると怖い」「私は悲しい」「精神的にしんどい」という気持ちをそのまま伝える、という方法です。
不機嫌になるのは、言語化できないネガティブな感情に陥ったとき、目の前の問題をやり過ごすための便利な手段でした。しかし、それと引き換えに大きな代償を支払っていることに、おそらく本人は気づいていません。その代償とは「相手との信頼関係の悪化」です。そして、その代償を明確に伝えることが、不機嫌な男性へのもっとも効果的な対応になるはずだと、男性であるところの我々は考えています。
つまり、「あなたが不機嫌になるのは自由だけど、あなたに対する信頼メーターはその都度目減りしている。このまま信頼がゼロになってしまったらどうなるか、よく考えてください」ということを、ハッキリ伝えるわけです。
これまで女性から聞いてきた話や、我々自身の経験を振り返ってみても思うことですが、男性は「この人に嫌われることはないだろう」と思っている相手ほど、不機嫌を発動しやすい傾向があります。言ってしまえば、これは完全なる油断と甘えです。そこであえて突き放すように、甘えの行き着く先には「別れ」があるということを伝え、自分が不機嫌な態度を取ることで何を代償にしているのかを自覚させることが効果的だと思うわけです。
「怒る」と「不機嫌」の違い
ところで、「怒る(おこる)」と「不機嫌になる」は似て非なるものです。「怒る」という行為には、自分の主張を相手にわかるように伝える義務や、伝えたことに対する責任、切り出すことのストレスが伴います(そのような義務や責任を果たしていない「怒る」という行為は、単なる暴力です)。一方の「不機嫌になる」は、そういったものを一切背負わないで、相手に都合良く理解してもらったり、変わってもらったりすることを暗に強制する態度です。
その意味でも不機嫌になることは赤ちゃんが泣いて訴えることに似ているのですが、しかし、赤ちゃんと母親の関係と、大人の男性と女性の関係とでは、決定的に異なる部分がひとつあります。それはほとんどの場合、女性よりも男性のほうが「腕力が強い」ということです。