中性子星の合体で重力波 米欧が初検出 日本も追跡観測で貢献、金の起源か (1/2ページ)


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  • 合体した中性子星から発生する重力波とガンマ線(斜め方向)の想像図=全米科学財団、LIGOチーム、米カリフォルニア州立ソノマ大、A・シモネット氏提供
  • 日本チームが撮影した、合体後の中性子星(矢印の先端)=国立天文台・名古屋大提供
  • (上段左から)互いを回る二つの中性子星が接近し衝突、(下段)壊れながら合体し、物質を放出する中性子星の想像図(国立天文台提供)
  • 日本チームが観測した中性子星合体の光(2本の直線の交点にある小さな点)。直後の8月18~19日は可視光が強かったが、24~25日には赤外線が強くなった。右下の大きな明るい輝きは銀河(国立天文台/名古屋大提供)
  • 米ルイジアナ州にある重力波望遠鏡LIGO(研究チーム提供)

 非常に重い中性子星という星が合体して生じた重力波を初めて検出したと米欧の観測チームが16日、発表した。日本など各国が望遠鏡で追跡観測し、金などの重い元素はこの合体現象で生まれた可能性が高いことを突き止めた。重力波と光の両方で天体を捉えたのは世界初で、天文学の新時代を開く画期的な成果だ。

 米国の観測施設「LIGO」(ライゴ)と欧州の観測施設「VIRGO」(バーゴ)の両チームは8月17日、地球から約1億3千万光年離れた場所から届いた重力波を検出。波形の分析から中性子星同士の合体で生じた重力波と分かった。

 連絡を受けた日米欧などは、合体後に放出された光を多くの望遠鏡で一斉に観測し、重力波の発生源となった天体を光で捉えることに初めて成功。米ハワイにある国立天文台のすばる望遠鏡などで明るさの変化を分析した。

 その結果、宇宙のどこで生まれたのか分かっていない金や白金などの重い元素が、中性子星の合体現場で生まれたとする理論と観測データがほぼ一致。宇宙の謎や物質の進化を探る上で重要な発見で、日本チームは東京大や名古屋大なども貢献した。

 中性子星は中性子を主成分とする非常に高密度の星。その合体は理論的には起きると考えられてきたが、生じる光が微弱で見つけにくいため、これまで確認できなかった。重力波で場所を特定できたことが観測の決め手になった。観測には各国の約70チームが参加した。