香港のKDDI子会社で架空取引 社内会議で発覚阻止の動き 「パラダイス文書」などで判明

 通信大手KDDI(東京)の香港の子会社で300億円超の特別損失につながる不正会計があり、架空取引に関与したとされる元役員らが発覚前、KDDIが監査の改善強化のため提案した監査法人変更に強く抵抗していたことが5日分かった。国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が南ドイツ新聞を通じて入手した「パラダイス文書」などで判明した。

 元役員らは社内会議で難色を示し、変更には1年以上かかった。新しい監査法人が2014年の交代後に不正を見つけた。元役員らは発覚を免れようとしたとみられる。

 子会社はシステム開発会社「DMXテクノロジーズグループ」。タックスヘイブン(租税回避地)の英領バミューダ諸島で登記され、本社を香港に置く。KDDIが09年に買収した。

 パラダイス文書やDMXの報告書などによると、元役員らは租税回避地の法人を使い中国企業と架空取引をした疑いがある。KDDIは取材に対し、租税回避地の法人を使った架空取引の疑いに関し「実態が確認できなかった」と回答。元役員らが不正会計に関わった動機は「事情を聴くことができず明らかになっていない」とした。元役員らは取材に応じなかった。