概念不一致 テロ対策論争の根本問題 (1/3ページ)

今年5月、ブリュッセルで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で、トランプ米大統領は対テロ関与拡大を訴えた(ブルームバーグ)
今年5月、ブリュッセルで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で、トランプ米大統領は対テロ関与拡大を訴えた(ブルームバーグ)【拡大】

 テロリズムの性質と、テロと戦う方法は冷戦終結以降、特に2001年9月11日の米中枢同時テロ後の世界の安全保障問題の焦点となった。そして今、トランプ米大統領と大統領助言役の一部は、イスラム教徒によるテロ行為はユダヤ・キリスト教文明を脅かす鋭利な刃であると見なし、ある意味でナチスドイツや旧ソ連との思想的・軍事的な闘争と同列に捉えている。この見方は政府の政策と外交関係に広範な影響を及ぼしかねないものであり、白熱した議論の的でもある。「どこ」の「誰」がテロリストか、またはその疑いがあるか。この問題をめぐっては各国内、そして各国間で意見の対立が激化している。

 ◆難民は拒絶か保護か

 各国内の対立では例えば難民の米国、欧州連合(EU)加盟国への亡命をめぐり、イスラム系難民の中にテロリストが潜伏している危険性を主張する受け入れ反対派と、テロリストの支配地域から逃れてきた人々を守る義務があると主張する賛成派が攻防を繰り広げている。

 そして各国間でいえば今年中盤、サウジアラビアなど中東4カ国がカタールとの国交を断絶した。4カ国がテロ集団と見なすイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」をカタールが支援している、というのが理由の一つだった。EUと米国は同胞団をテロ集団と認定していないが、トランプ政権は何らかの措置を検討している。

 米欧間にも対立がある。トランプ氏はテロの脅威を過大視するあまり、テロ対策に本腰を入れるよう北大西洋条約機構(NATO)に要求を突き付けた。これに対し、ただでさえロシアの影響力拡大という深刻な懸念材料を抱える欧州の加盟諸国は、米大統領が加盟国間の集団防衛というNATOの根幹をなす任務を十分に履行していないと懸念を募らせている。

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