【山本隆三の快刀乱麻】脱石炭のEUでの代替エネは? (1/4ページ)

原発の新設が報じられる英国のヒンクリー・ポイント原子力発電所(ブルームバーグ)
原発の新設が報じられる英国のヒンクリー・ポイント原子力発電所(ブルームバーグ)【拡大】

  • 世界柔道選手権に駆けつけたプーチン露大統領(右)とハンガリーのオルバーン首相=8月28日、ブダペスト(AP)

 ■中露による原発新設相次ぐ

 ハンガリーの首都ブダペストで8月28日から開催された世界柔道選手権。その会場で目をひいたのは、ハンガリーのオルバーン首相が、国際柔道連盟の名誉会長でもあるロシアのプーチン大統領と談笑する姿だった。もちろん2人が交わした話は柔道だけではなかった。非公開で行われた両首脳の会談後、ハンガリーのパクシュII原子力発電所の新設工事が来年1月、ロシア国営原子力企業ロスアトムにより開始されることが発表された。

 学生時代、反ソ連の闘志だったといわれているオルバーン首相だが、ハンガリーはエネルギー問題ではロシア依存度を高めており、天然ガス輸入もロシア国営エネルギー会社ガスプロムへの依存度が上昇していると報道されている。ハンガリー政府は原発で競争入札を行わず、ロスアトムに発注することを決め、欧州委員会も今年3月、同社との契約を承認した。

 欧州では、ハンガリー以外でも原発新設が報じられている。英国は、フランス電力(EDF)と中国企業の合弁事業体と契約を結び、ヒンクリーポイントC原発の建設工事に着工した。フィンランドでは、オルキルオト3号機の完工が2018年末に見込まれることから、新たな原発建設が進展している。このほか、ポーランドが原発新設計画、ブルガリアが原発建設計画再開を発表している。

 こうした動きの背景の一つに、気候変動問題に取り組むため脱石炭火力を進めなくてはいけないという事情がある。脱石炭火力を進めるには、代替する電源が必要になる。再生可能エネルギーは代替電源の候補だが、発電コスト以外に、系統安定化の費用が必要になり、需要家に着いたときの価格は高くなる。図の通り、電気料金が比較的低い東欧諸国にとって、原子力が代替電源の候補として登場するのは、当然のこととも思える。

需要家価格が高い再生エネルギー