ツキノワグマの出没、餌の堅果類で予測 長野県北部は大量出没注意 (1/2ページ)

人里近くに現れると農作物や人身に被害をもたらす可能性があるツキノワグマ(長野県環境保全研究所提供)
人里近くに現れると農作物や人身に被害をもたらす可能性があるツキノワグマ(長野県環境保全研究所提供)【拡大】

 ツキノワグマが人里に出没し、農作物や人を襲うなどの被害が後を絶たない。長野県は毎年度、餌となるブナなど堅果類(堅い殻を持つ木の実)の豊凶調査を行い、出没予測をまとめているが、今季は冬眠に入る12月中旬まで、北信地域(長野県北部)のほかに「大量出没」はないという。ただ、同じ地域内でも豊作と凶作にばらつきがあるため、行動範囲が広がる可能性もあり、注意を呼びかけている。(太田浩信)

 豊凶調査によると、今年度のブナの結実は、昨年度と同じ「凶作~不作」。だが、ミズナラは「凶作~豊作」、コナラが「不作~豊作」、クリ・クルミが「並作」と判定され、ブナ以外は昨年度の調査より多い結実が確認された。

 地域別に見ると、東信地域がいずれの堅果類も「不作~豊作」が認められ、中南信地域は「平作」以上とされた。ただ、北信地域ではブナが「凶作」となり、ミズナラとコナラも「凶作~不作」の判定となった。

 新潟、富山両県境に接する北信地域は、いずれの堅果類も例年に比べて実りが悪く、餌を求める個体が人里近くまで現れることが予想される。

 県鳥獣対策・ジビエ振興室は、各地域内でも個々の木によって豊凶の差が大きいため、ツキノワグマの行動範囲が広がる可能性もあるとして、「集落近くの山林で行うキノコ狩りや散策の際に、遭遇する危険がある」と警鐘を鳴らす。