【水と共生(とも)に】エジプトとエチオピア“水戦争”再燃 (2/4ページ)

2015年3月にナイル川からの水の共有に関する合意に署名したエジプト、スーダン両国首脳ら=スーダン・ハルツーム(AP)
2015年3月にナイル川からの水の共有に関する合意に署名したエジプト、スーダン両国首脳ら=スーダン・ハルツーム(AP)【拡大】

  • 緑に生い茂った木々の横を流れるナイル川。古代からエジプトはこの川によって繁栄を享受してきた=4月、カイロ(AP)

 ナイル川上流に建設中の「大エチオピア・ルネサンス・ダム」(Grand Ethiopian Renaissance Dam)は、スーダンとの国境に近いエチオピア西部で2010年から建設が始まった。総工費約33億ユーロ(約4360億円)、堤高155メートル、堤全長約1.8キロ、総貯水可能量約740億立方メートル、計画発電総量6000メガワット(フランシス型水車:375メガワット×16基)でアフリカ最大のダムである。エチオピアの全国電化率は27.2%(世界銀行調べ、14年)。巨大ダムが完成し、発電を始めると、乾期に毎日続く停電から解放され、国民生活の改善はもちろん、同国の経済発展の礎になる。

 同国にとって豊富な水資源の確保は、国家の命運を左右する。一方、エジプトのムハンマド・ムルシ大統領(当時)は13年、国民に向けたテレビ演説で「わが国はエチオピアとの戦争は望んでいない。しかし、エジプト文明と国家を支えてきたナイル川の水量が減少することは絶対に受け入れられない。われわれにはあらゆる選択肢の可能性がある」と強い調子で訴えた。

 ◆英主導で割当協定

 1929年、英国主導で、同国が統治していたエジプトとスーダンの割当水量に関する協定が結ばれた。ナイル川の総水量のうち、65%がエジプト、22%がスーダン、残り13%は他の流域国から要求があれば分割取水されるという内容である。

 さらに59年には、エジプトとスーダンの間で、エジプトが総流量の75%(555億立方メートル/年)、スーダンが25%(185億立方メートル/年)とする再配分協定を結んでいる。他の国については、要求があれば、エジプトとスーダンが共同で対処することになった。