【水と共生(とも)に】エジプトとエチオピア“水戦争”再燃 (3/4ページ)

2015年3月にナイル川からの水の共有に関する合意に署名したエジプト、スーダン両国首脳ら=スーダン・ハルツーム(AP)
2015年3月にナイル川からの水の共有に関する合意に署名したエジプト、スーダン両国首脳ら=スーダン・ハルツーム(AP)【拡大】

  • 緑に生い茂った木々の横を流れるナイル川。古代からエジプトはこの川によって繁栄を享受してきた=4月、カイロ(AP)

 ◆利害対立の解決手段は

 国際河川をめぐる争いの大部分は、上流国と下流国の利害の対立である。ナイル川紛争の特徴は、水需要が下流国(エジプト、スーダン)に集中し、上流の水源地域の水需要が極端に少ないことだ。特に最下流のエジプトは、国内水需要の97%をナイル川に依存している。従来の農業用水利用に加えて、近年は国内総生産(GDP)成長率が4%を超えて、カイロ大首都圏の人口が2200万人とこの10年間で倍増し、水需要も急増している。同国の経済発展を支えるナイル川の水資源確保は国家の最重要課題なのだ。

 当初は、上流国スーダンと下流国エジプトの水利権争いだった。エジプトは、歴史上の優位性や、協定締結の事実、さらに「上流国の水資源開発には下流国の同意が必要」とする“下流の論理”を主張し、水利権を確保してきた。

 99年2月、国際機関と欧米諸国の支援により「ナイル川流域イニシアチブ(NBI)」が設立され、各流域国の水資源計画を出し合い、他国に影響がある場合は協議することが義務付けられた。しかし上流国は「上流国の水資源開発は下流国から制約を全く受けない」とする“上流の論理”を主張し、対立が続いている。

 隣国間の取り決めも、常に疑ってかからなければいけない。エチオピアが巨大ダムの建設構想を発表した際、エジプトはスーダンと組んで反対を唱えたが、そのスーダンが突然反旗を翻し、エチオピア側についた。スーダンはダムが完成したら、その発電量の一部をもらい受ける密約が成立したとの観測がささやかれているが、真偽のほどは不明である。

 国連機関の調べによると、国際河川に頼らず、自国に水源を有する国は世界に21カ国あるとされ、日本も含まれている。わが国は、恵まれた水環境に感謝しつつ、さらなる水資源の持続可能性を追求していくべきである。