エレベーター死亡事故でシンドラー社などと和解 母は「息子の命が安全に生かされるよう訴え続ける」

9月27日、エレベーター事故で亡くなった市川大輔さんの写真を前に記者会見する母の正子さん=東京・霞が関の司法記者クラブ
9月27日、エレベーター事故で亡くなった市川大輔さんの写真を前に記者会見する母の正子さん=東京・霞が関の司法記者クラブ【拡大】

 東京都港区のマンションで平成18年、都立高2年の市川大輔(ひろすけ)さん=当時(16)=がシンドラーエレベータ社製のエレベーターに挟まれ死亡した事故で、遺族が同社とマンションを所有する区などに損害賠償を求めた訴訟は24日、東京地裁(岡崎克彦裁判長)で和解が成立した。

 原告側代理人によると、同社や区が「遺憾の意」を示して再発防止に取り組み、和解金を支払う内容。遺族と区は業者との安全確保への取り組みや事故防止の啓発などを確約する覚書も交わした。

 事故は18年6月に発生。市川さんがエレベーターを降りようとしたところ、ドアが開いたまま上昇し、かごの床と外枠に挟まれ死亡した。遺族は20年、安全確保を怠ったとして2億5000万円の賠償を求め訴訟を提起。地裁が今年9月に和解を勧告していた。

 事故をめぐっては同社社員らが業務上過失致死罪に問われ、地裁が27年、社員1人を無罪、保守管理会社の3人を有罪とし、いずれも東京高裁で公判中。

 遺族らは和解金の一部を安全確保の法制化を訴える活動に充てる方針。和解成立後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見した母親の正子さん(65)は、「和解は終点ではない。息子の命がエレベーターの安全に生かされるよう訴え続けていきたい」と話した。

 シンドラー社は「安全のために最善を尽くしていく」、武井雅昭区長は「安全・安心の確保に全力で取り組む」とコメントした。