相撲協会は「世間知らずの集団」 日馬富士問題で分かった無能ぶり (3/3ページ)

21日夜、福岡空港に到着した横綱・日馬富士(仲道裕司撮影)
21日夜、福岡空港に到着した横綱・日馬富士(仲道裕司撮影)【拡大】

◆会見でふてくされた態度 甘やかされたブラック組織

 今回もまともな組織であれば「なに、暴力事件が起きただと! よし、その場にいた者は全員来い。事情聴取をする」と召集をかけ、そして明らかな暴行が判明した場合は「貴ノ岩、お前は今回の件を警察沙汰にする? 示談で納める? どっちにする? それはお前に任せる。被害者であるお前の判断を尊重する。そして、後日いやがらせ等があったら、その場合はそれをやった人間をすぐに処分する」とやっても良かったのである。

 電通で2015年に当時新入社員だった女性が過労のあまり自殺をする事件があったが、結果的に電通には家宅捜索が入り、労働基準法違反をめぐる裁判では敗訴した。この時、広告業界関係者からは「電通だったら長時間労働は普通だろ……」や「月105時間ぐらいの残業なんて普通」「パワハラだって日常茶飯事なのに彼女は弱い」といった声は聞かれた。

 裁判では電通が負けただけに「電通(及び広告業界)の常識は一般から乖離されている」ことが明らかになった形だが相撲協会もそうである。

 日本相撲協会の会見というものは、大抵の場合仏頂面でボソボソとふてくされたような喋り方のものが多い。冒頭で紹介したコメントのように、謝罪しているのか明確には分からず、「余計なことしやがって、オレは悪くないのに……」的な態度がまかり通っている。

 確かに相撲協会は儲かっているのでビジネスのセンスはあるのだろうが、「死者が出ても『かわいがり』と言い放つ」というあまりにも無慈悲かつ異常な組織であることは理解した方がいい。NHKが連日2時間にわたって放送するという優遇をされ、「国技」ということで、メディアも国民も「相撲だからしょうがないよねw」と甘やかしすぎたのでは。数々のブラック企業が糾弾されてきたことを考えると、相撲協会も同様に真摯な謝罪をしつつ、糾弾されてもおかしくないのである。

【プロフィル】中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)ネットニュース編集者
PRプランナー
1973年東京都生まれ。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライター、「TVブロス」編集者などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『謝罪大国ニッポン』『バカざんまい』など多数。

ニッポンの謝罪道】はネットニュース編集者の中川淳一郎さんが、話題を呼んだ謝罪会見や企業の謝罪文などを「日本の謝罪道」に基づき評論するコラムです。更新は隔週水曜日。