無戸籍、救済制度はあるものの…「現場に無理解」の指摘も (1/2ページ)

衆院予算委員会で質問に答える上川陽子法相=国会・衆院第1委員室(斎藤良雄撮影)
衆院予算委員会で質問に答える上川陽子法相=国会・衆院第1委員室(斎藤良雄撮影)【拡大】

 「無戸籍は人権に関わる重大な課題」。上川陽子法相が24日の閣議後会見でこう発言したように、国は無戸籍者救済のための取り組みを進めている。ただ、行政サービスを扱う現場である市区町村では、無理解などから適切な対応が取られないこともあるようだ。

 報道で無戸籍の問題が大きく扱われるようになったのは平成18年。以来、無戸籍者は、住民票が作れない▽パスポートが作れない▽婚姻届が受理されない▽国民健康保険に加入できない-などの生活上の問題に直面しているとされてきた。

 ただ、この中には誤解されているものもある。婚姻届は受理される。戸籍や住民票がなくても国民健康保険には加入できる。さらに、強制認知の裁判手続きを取っているなどの条件付きながら、19年にはパスポートが、20年には住民票が作成できるようになった。

 このように無戸籍者救済の制度はかなり整ってきている。しかし、現場の対応が追いついていないことを指摘する声もある。

 無戸籍者の支援を続ける「民法772条による無戸籍児家族の会」代表の井戸まさえさんは「住民票作成は市区町村長の判断次第になるので、断られたケースもある。その他のことでも役所の窓口で『できない』といわれたという話はよく耳にする」と話す。