「国民意識の変化、背景に」 強制わいせつ判例変更 中央大名誉教授の椎橋隆幸氏(刑事法)

 性犯罪に対する国民の意識の変化を背景に、強制わいせつ罪の成立に「性的意図が必要」だとした昭和45年の判例を変更したもので、非常に意義がある。

 判例は当時、国内外で「性的意図が必要」との学説が有力だったことに加え、主観的な要件を設けることで、同罪の適用範囲を限定的にする意図があったと考えられている。ただ、条文に明記されていない要件を設けた合理的根拠は示されておらず、強姦罪が主観的要件を定めていないこととの整合性がない、との批判も根強かった。

 平成16、29年の刑法改正で性犯罪の法定刑が引き上げられ、処罰対象が拡大したことは「(性的被害を受けないという)性的自由が保護されるべきだ」という国民意識の変化の表れでもある。今回の判決は、強制わいせつ罪の成否を、主観で線引きするのではなく、より客観的に判断すべきとの姿勢を示したものだ。