「英語で大丈夫」とうそぶく人の落とし穴 知らないことを恐れるな (1/3ページ)

【安西洋之のローカリゼーションマップ】

 日本の人から聞いてウンザリする英語をテーマにしたセリフが2つある。

 一つは「イタリアは英語が通じにくい。英語を話す人もイタリア語なまり」というもの。もう1つは、特にドイツ以北に住んでいる人が語る「ヨーロッパの北は英語でまったく困らない」だ。

 これらは定番と言ってよい。だからぼくも決まったコメントを用意してある。

 最初のセリフに対しては「日本の方が英語は通じないですよ。英語が通じるって東京の六本木か丸の内あたりの話でしょう? イタリア語なまりの英語って、映画などでも世界中の人の耳に馴れているから、日本語なまりより通用していますよ」と答える。

 二つ目のセリフについては「英語で日常生活の用が足りる、という話ですよね。英語を話さない人たちのことも分からないし、英語を話す人の場合でも本音は分かりにくいと思いますよ」とコメントする。

 およそこれらの2つのセリフを発する人は、外国文化の初心者であるか、人と深くコミュニケーションすることが、そもそも視野に入っていない。それなのに格好だけつける。

 さてこのコラムでは、2つ目のセリフに焦点をあててみる。

 ぼく自身、30年近くイタリアに住んでいて、イタリアや欧州の人の考え方や本音が分かっていないと痛感することがよくある。それは日本人の考え方や本音なら分かる、という意味ではない。

母国語コミュニケーションの大切さ