月面探査車「ソラト」 「同行者」は競争相手でパートナー

チームインダスが開発している月着陸船=10月、インド・ベンガルール(共同)
チームインダスが開発している月着陸船=10月、インド・ベンガルール(共同)【拡大】

 インド南部ベンガルールの空港から車で約30分。幹線道路から脇道に入ると、2階建ての白い建物が目に入る。目立つ表示もない地味な施設が、インドの宇宙関連事業の専門家らが集う「チームインダス」の拠点だ。

 チームインダスは民間月面探査の国際コンテストに参加し、探査車と月面への着陸船を開発している。着陸船には日本チーム「HAKUTO(ハクト)」の探査車も相乗りする。ハクトとは、競争相手であると同時に、月面までの移動を共にするパートナーでもある。

 建物内に入ると、月を背景に宇宙船と人のシルエットが描かれた看板が目を引く。壁には、モディ首相が語った「若者たちこそが国の力である」との言葉がヒンディー語で掲げられている。その言葉どおり、建物内を行き交う人たちには若者の姿が目立つ。

 創設は2011年。当初20人だったメンバーは約120人にまで増えた。1階の大広間では、技術者たちがパソコンの画面に見入って議論する。その中には、若手ばかりでなくベテランの姿も。

 政府系の研究機関で35年間、ロケット開発に携わってきたというジャヤラマンさん(70)は「古い技術も積極的に取り込んで、新しい形にするのがわれわれのスタイル。政府機関と違うのは、決定の早さだ」と話す。

 開発している着陸船は重さ約600キロ。月に約20キロの物資を運ぶ能力があり、ハクトの探査車「SORATO(ソラト)」とチームインダスの探査車「ECA(イカ)」を乗せる。約400キロは燃料で、残りは科学機器が占める。

 プロジェクトリーダーで元IT企業経営者のドゥルブ・バトラさん(44)は「ハクトの仕事ぶりは素晴らしい。われわれはインド国民の期待も背負っており責任重大だ」と話す。(ベンガルール 共同)