月面探査車「ソラト」 「X字」で距離・電力効率を両立

 月面を500メートル移動するには、探査車が着陸してからどのようなルートを走るのかの戦略が重要だ。「HAKUTO(ハクト)」チームは操縦のしやすさと効率よく電力を得ることを重視。X字を描くように動かし、500メートルを走破する計画だ。

 探査車の側面には太陽電池パネルが70度の傾斜で付いている。着陸予定の月の北半球で、浅い角度から来る太陽光を効率良く受けるためだ。だが探査車が太陽に背を向けてしまうとこの工夫も無駄になる。そのため、チームはパネルに直角に光が当たるよう、車体の側面を常に太陽に向け、直線的に走らせる。

 着陸船から月面に降りた探査車はまず、直線で約180メートル進み、角度を変えて戻るように180メートル進む。再び角度を変えて最初の直線と交差する方向に直進し、X字を描く。直進を繰り返すことで操縦が簡単になり、正面の赤外線カメラでも障害物を確認しやすい。

 地上のパイロットが探査車からの映像を確認しながら、車輪の回転速度と回転数を指示する信号を数分ごとに送信して操縦する。通信を仲介する着陸船からは500メートル以上離れられない。チームの吉田和哉・東北大教授は「制約がある中、X字を描くことで走行距離の確保と電力の効率を両立させられる」と話す。

 着陸予定地は「雨の海」と呼ばれる比較的平らな領域。しかし、着陸の精度は数キロ単位でずれることもあるため、ハクトは過去の探査で撮影された月面の画像を基に周辺の地形も分析している。