受刑者にマナー指導で社会復帰支援 「和文化プロデューサー」森荷葉さん

 「湯飲みは両手で」「話し声の大きさには気を付けて」。殺風景な会議室に森荷葉(かよう)さんの明るい声が響く。和文化プロデューサーの肩書を持ち、多くの企業の社員教育を任されている森さんが向き合うのは、東京都葛飾区小菅の東京拘置所で受刑中の女性たち。罪を償った後、「スムーズに社会生活に溶け込んでほしい」と、食事やあいさつなどのマナー指導に当たる。

 森さんが東京拘置所に通い始めたのは平成26年秋。知人で刑務所出所者の就労支援に取り組む一般社団法人「チーム太陽」の北村啓一代表(70)から「マナーや知識を伝授してほしい」と誘われたのがきっかけだ。ボランティアで月1回、1時間の講義をしている。

 東京拘置所で昨年12月18日にあった講義のテーマは「旅のマナー」。服役中の女性6人が受講した。「室内の大きな物を動かすときは旅館に断ってから」「心付けを渡す際は袋の用意を」。机の上には湯飲みも用意され、森さんが実技を交えて持ち方や飲み方を指導した。

 一挙手一投足が厳しく管理される刑務所生活。受講した40代女性は「受刑中はマナーのことなんて忘れがち。有名な先生に教えてもらえて、自信を持って社会に出られそう」とうれしそうだ。

 森さんは「企業での研修と同レベルの指導をしている。学んだ内容に自信を持って社会に出ていってほしい」と話した。