新たながん治療、近赤外光で細胞死滅を目指す 島津製作所、米NIHと共同研究 


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 島津製作所は、新たながん治療法「がん光(ひかり)免疫療法」の実用化に向け、米国立衛生研究所(NIH)と共同研究を始める。新治療法を支援する医療用機器の開発を進める。

 がん光免疫療法はNIHの小林久隆主任研究員が提案した。近赤外光を吸収すると細胞膜を破壊する化学物質を、がん細胞のみに集積する抗体に結合させた薬剤を患者に注射。集積部分にテレビのリモコンで使われる近赤外光を約10分間照射すると、化学物質が反応し、がん細胞は壊れて死滅するメカニズムに基づく。死滅したがん細胞は尿で体外に排泄される。米では咽頭(いんとう)がんの治験が行われている。

 同社はこの療法を支援する医療機器の開発を行う。3月には国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)で喉や口、舌などの頭頸部(とうけいぶ)がん患者を対象に国内初の治験(臨床試験)が開始される見通し。放射線治療などに比べて人体に安全で、免疫治療薬「オプジーボ」より医療費が安くなるとみられるという。

 同社は先進的な健康・医療ビジネスを成長事業に位置づけており、治験で新療法の安全性が確認され、認可が得られれば、機器の販売を始め、新たな収益源に育てたい考えだ。

 上田輝久社長は「島津が培った分析計測技術で、がん患者の命が少しでも助かることにつながることを期待したい」と話している。