中国で「クローン」サル誕生 「人の薬の効果を確かめる実験に」強調も…倫理的問題で議論も

体細胞クローンの手法で初めて生まれた2匹のカニクイザル(中国科学院提供)
体細胞クローンの手法で初めて生まれた2匹のカニクイザル(中国科学院提供)【拡大】

 もとの個体と全く同じ遺伝子を持つ「クローン」のカニクイザルを2匹誕生させたと、中国科学院のチームが24日付の米科学誌セル電子版に発表した。1997年に英国で報告されたクローン羊「ドリー」と同じ手法を使ったサルで初めての例としている。

 チームは「サルを使って人の薬の効果を確かめる実験に役立つ」と意義を強調する。ただ人と同じ霊長類のクローンづくりには倫理的な問題点があり、今後議論を呼ぶ可能性がある。

 使ったのは「体細胞クローン」と呼ばれる手法。分化した体細胞から染色体を含む細胞核を取り出し、核を除いた卵子に注入して新たな個体をつくる。ドリーの誕生以来、マウスや牛、豚などでクローンがつくられ、畜産業や医学研究に用いられている。一方、体細胞クローンはさまざまな異常が起きて出生率が低く、サルの成功例はなかった。

 チームはカニクイザルの胎児の細胞核を卵子に注入。成長を促す遺伝子も加え、雌のサル21匹の子宮に79個を移植。6匹が妊娠し2匹が生まれた。

 2匹は通常のサルと同じように成長し、それぞれ50日と40日後も生存している。成長したサルの細胞核でも試し、2匹が生まれたが、3~30時間後に死んだ。