「自分をモノ化」し「弱者が弱者をたたく」…なぜ人々はヤフコメだと上から目線なのか (1/6ページ)

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 著名人の不倫が報じられると、ヤフーニュースのコメント欄(ヤフコメ)には、激怒する書き込みが相次ぐ。なぜそこまで“上から目線”で怒るのか。情報社会学者の塚越健司氏は「ネットの普及によって、目の前の自分に向き合うことより、何かの立場から社会を論じているほうが、心理的満足感が得られるようになったからだ」と指摘する--。

 なぜ人々は「芸能人の不倫」に怒るのか

 2017年も芸能人の不倫や大相撲の問題などがワイドショーなどで特集された。多くの人にとって芸能人の問題も大相撲の問題も他人事であるにもかかわらず、なぜ人々は怒りを込め、問題を論じようとするのだろう。それだけ人々はニュースを「自分のこととして」共感したからかと言われれば、そうではないようにも思う。ではなぜ我々は自分と関係ない事件にあれほどまで怒るのだろう。この問題について考えたい。

 英犯罪学者のジョック・ヤング(1942-2013)は2007年に著書『後期近代の眩暈』を出版している(翻訳は2008年出版)。SNSが本格的に普及する前に書かれた本だが、その後の社会を見通す上で示唆に富んでいる。

 我々は社会問題を論じる際、排除されている人と富裕層などの包摂されている人々の二項対立で考えることが多い。しかしヤングによれば、問題はむしろ多くの人々が社会に包摂された多数派と思ってしまう点にあるという。以下ヤングの議論を概観しよう。

「私も一発逆転できるかも」という思考回路