月面探査のHAKUTO、「失敗」でも技術蓄積 ミッション未達でレース終了 

会見するアイスペースの袴田武史社長=東京都港区
会見するアイスペースの袴田武史社長=東京都港区【拡大】

 米Xプライズ財団が2007年に始めた月面探査レースで、日本のチームHAKUTO(ハクト)を含む5チームが期限となる3月末までのミッション達成が困難になったことから、同財団は1月23日、レースの終了を発表した。チームHAKUTO(ハクト)を運営してきた宇宙ベンチャー、ispace(アイスペース、東京都港区)は、月周回と月面着陸の2つの月探査ミッションを実行するため、月着陸船と無人探査機(ローバー)の打ち上げを目指すが、今後の道のりは決して平坦(へいたん)ではなさそうだ。

 チーム代表を務めるアイスペースの袴田武史社長は、年明け以降、主催者にレースの期限延長を申し入れていたが、「支援していただいた人たちには申し訳ない。今後も挑戦を続け(支援してくれた人たちの)思いを必ず月に届けたい」と述べた。

 レースを支えてきた個人向けのサポーターズクラブは解散を検討。企業とのスポンサー契約についても「検討中」(袴田社長)だ。「今回のチャレンジで難しかったのは資金調達だった。もう少し早くから資金調達ができていたら、技術開発の難易度は下がったかもしれない」と振り返る。

 同社は昨年12月、独自に月着陸船を開発し、20年末頃までにローバーで月面の資源探査を行う計画を発表。総額101億5000万円の資金調達にも成功した。大手企業に加え、政府系の産業革新機構や日本政策投資銀行も出資に応じた。

 アイスペースは、レースの目標は達成できなかったものの、多くの技術を蓄積できた。宇宙ベンチャーが盛んな米国では、“失敗”を正しく評価する文化があり、日本に比べてはるかに資金も集まりやすい。

 日本の宇宙ビジネスの成否は、ベンチャーと投資家が今回の“失敗”を今後にどう生かせるかにかかっている。