東電に11億円賠償命令、過去最高額 「ふるさと喪失」損害を認定

 東京電力福島第1原発事故で避難指示区域となった福島県南相馬市小高区(旧小高町)の住民ら321人が、避難生活を余儀なくされたとして、東電に慰謝料など総額約110億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が7日、東京地裁であった。水野有子裁判長は「長期間、生活基盤から隔絶され過去に類を見ない甚大な被害が生じた」として、東電に計約11億円の支払いを命じた。原告側は控訴を検討する。

 全国約30の同種集団訴訟で4例目の判決。これまで前橋、千葉、福島の3地裁が国や東電に賠償を命じているが、今回の賠償総額は過去最高となった。

 東電は国の中間指針に基づき、避難に対する慰謝料として小高区の住民らに1人当たり850万円を支払うと公表している。住民側はこれを不十分だとして、小高区で以前のように生活できなくなった「ふるさと喪失」への慰謝料1千万円を含む、1人当たり原則約3千万円の上乗せを求めていた。

 判決は、事故による長期の避難指示や安定的だった生活基盤の大きな変化は、憲法で定める居住の自由と人格権の侵害に当たると指摘し、ふるさと喪失による損害を認定。交通事故の入院慰謝料の基準と比較し、1人当たり300万円の増額が相当と算定した。原告のうち3人は事故時に生活基盤が小高区になかったとして、請求を棄却した。

 東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見した原告側代理人の弘中惇一郎弁護士は、認容額を「被害実態に見合わない」と批判する一方、東電に対する同様の損害賠償訴訟に影響をもたらす可能性があるとの考えを示した。

 原告の江井(えねい)績(いさお)さん(76)は「血の通った判断をしてくれたか疑問だ」と語った。