NEM流出ショック

(中)「マウントゴックス」の再現 見えぬ犯人像「自分で管理鉄則」 (2/4ページ)

 犯人像や意図については専門家らの解釈も分かれる。「現金化よりもハッキング技術の誇示を望む愉快犯ではないか」「不正なネムを拡散させて市場を制御不能にし、どさくさ紛れに現金化を狙っている」「他口座への送金は追跡状況をチェックするためだろう」…。加えて「内部犯の可能性も排除できない」との声もあり、百家争鳴の様相だ。

  × × ×

 こうした混乱は、平成26年2月に約480億円相当の仮想通貨ビットコイン(BTC)が消失し、破綻した取引所「マウントゴックス」をめぐる事件の“再現”ともいえる。

 この事件で同社は当初、「消失の原因はハッキング攻撃だ」と公表した。しかし警視庁は、同社のずさんな管理態勢が消失の一因とみて捜査。27年8月、当時の同社代表、マルク・カルプレス(32)=公判中=を、自身の口座残高を水増したとする業務上横領容疑などで逮捕した。カルプレスは一貫して無罪を主張している。

 注目すべきは、この事件の全容がいまだ解明されていないという事実だ。捜査では、一部のコインが実際にサイバー攻撃で盗み出されていたことが判明。消失した85万BTCのうち、65万BTCが現在も所在不明のままとなっている。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus