温暖化深刻化見越し法整備 適応法案を閣議決定 自治体の策定促す

 地球温暖化が深刻になるのを見越し、自治体に影響軽減に向けた計画作りなどを促す気候変動適応法案を政府が閣議決定した。農水産分野で大きな影響が予想され、地域の状況に応じた対応が被害を抑える鍵に。一部の自治体では、高温に耐えるイネの開発といった試みに乗り出している。

 ◆「影響拡大の恐れ」

 「温暖化の影響が全国で長期にわたり拡大する恐れがある。温室効果ガスの大幅削減はもちろん、被害の回避、軽減に取り組むことが重要だ」。中川雅治環境相は20日の記者会見で強調した。

 温暖化は確実に進行している。世界の平均気温は産業革命前と比べ既に1度ほど上昇。これが1.5~2度を超えると、自然災害の増加や生態系破壊など深刻な被害が出るとされる。共同通信が入手した国連の特別報告書の素案は、2040年代にも1.5度を超える恐れがあると警告する。

 日本は世界平均よりも急速に温暖化が進み、今世紀末に最大5.4度上がるとの予測もある。

 農水産物は収量の変化や品質の低下などが見込まれ、危機感を強める自治体が増えている。

 夏に猛暑に見舞われる埼玉県熊谷市。07年8月には40.9度を記録し、市内にある県農業技術研究センターの試験場では、開発中だった約300種のコメの大半で粒が白く濁る被害が生じた。

 県内ではコシヒカリや県のブランド米に広く被害が出た。荒川誠主任研究員は「1991年の入庁時は白濁被害を見たことがなかった。この10年ほどで被害の常連になった」と語る。

 ただ、07年に被害が出なかった株もあり、これを基に暑さに強い品種「彩のきずな」を開発。作付面積は毎年増え続け、17年度に県内の11%を占めるまでになった。

 愛媛県では、温州ミカンに高温障害が生じ、暑さに強いブラッドオレンジを導入。中南米原産のアボカドを栽培する地域もある。

 熊本県は数年前から、ノリが高水温に耐えられるよう品種改良に取り組む。ノリは毎年10月ごろに養殖を始め、その際の水温が23度以下でないといけないが、なかなか下がらないという。

 ◆具体的施策は不十分

 先進的な試みの一方、対応が遅れる自治体も。

 政府は15年に適応計画を作り、自治体にも策定を促した。40都府県が作ったが、ほとんどは適応の重要性を記載するにとどまり、具体的な施策は不十分だった。

 埼玉県は12年から適応策を議論する専門部会を設け、16年に計画を作った。コメの開発以外に、夏の熱中症対策として公共施設やコンビニエンスストアに外出時の一時避難所としての協力を要請したり、大雨対策として河川の拡幅や下水道の整備を進めたりしている。

 県温暖化対策課の小林健太郎主査は「温暖化対策は最優先課題になりにくいが、将来予測と対策を整理して示せば県庁の他の部署でも担当者の意識が高まり、県民の理解も深まるのではないか」と話した。