【第27回地球環境大賞】先進的な活動事例 温暖化防止に貢献(2-2)

正井健太郎執行役常務(鉄道ビジネスユニットグループCOO)
正井健太郎執行役常務(鉄道ビジネスユニットグループCOO)【拡大】

  • さまざまな新技術を取り入れた「A-train」
  • 尾賀真城社長
  • タイに建設したパイロットプラント
  • 岡本一郎社長
  • 東京都江東区の豊洲市場に採用されたノンフロン断熱不燃パネル
  • 田忠裕会長
  • 2017年10月に竣工したパッシブタウン第3期街区
  • 平岡敏行社長
  • GaNパワーデバイス搭載LED電球・ハロゲン電球形
  • 永島弘明校長
  • 韓国の中高生との海岸清掃
  • 阿部博之委員
  • 徳川恒孝委員
  • 中村桂子委員
  • 池田三知子委員

 □国土交通大臣賞 日立製作所 鉄道ビジネスユニット

 ■アルミ合金でリサイクル性の向上と軽量化実現

 アルミ合金を使用することでリサイクル性の向上と軽量化を実現した「A-train」は、リサイクル、メンテナンスが容易でライフサイクルコストに優れた鉄道車両。車体には断面形状がトラス状で中空になったダブルスキン(二枚板)構造を採用し、静かで快適な車内空間を可能とした。

 車両製作での最大の特徴は「摩擦撹拌(かくはん)接合(FSW)」と呼ぶ溶接技術を採用した点で、材料を溶かさずに接合するので歪みが少なく、エネルギー消費量の削減につながる。このほかにも、3次元削出加工や構体開口部くりぬき加工といった高精度デジタル加工技術を大幅に採用、安定した高い品質を確保している。

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 □農林水産大臣賞 サッポロホールディングス

 ■醸造技術の応用で次世代バイオマス技術開発

 酒類製造で培った醸造技術を応用したバイオマスエネルギーの技術開発を長年にわたって国内外で推進。2011年から開始したNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の技術実証ではタイにパイロットプラントを建設し、キャッサバパルプからのバイオエタノール生産技術を確立した。タピオカ澱粉の原料、キャッサバ芋の残渣であるキャッサバパルプは繊維分を多く含むため、バイオエタノールの原料として利用できなかったが、20か月をかけてキャッサバパルプの粉砕方法や発酵条件、蒸留方法など多方面にわたる試験を実施、製造条件の最適化と諸課題の解決に取り組んだ。この成果を基に、次世代バイオマス技術として食糧需給の併存と廃棄物の削減、エネルギー・環境問題の解決に貢献していく。

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 □日本経済団体連合会会長賞 日本軽金属ホールディングス

 ■断熱パネルのノンフロン化に業界で初成功

 地球温暖化防止への取り組みが求められる中、断熱パネルのノンフロン化は業界全体の課題だったが、断熱・不燃パネル製造時に使用される代替フロン(HFC)をHFO(ハイドロ フルオロ オレフィン)に切り替えることに業界で初めて成功した。

 HFO発泡剤を採用した環境配慮型のノンフロン断熱不燃パネル「ジェネスタ不燃」を製品化し、生産を担当するグループ企業の日軽パネルシステムの全工場で断熱パネルのノンフロン化を達成した。これにより、工場で直接排出される温室効果ガスの削減だけにとどまらず、今後はサプライチェーンで廃棄時に排出される温室効果ガスをCO2換算で年間約30万トン削減することと同等の効果が見込める。

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 □フジサンケイグループ賞 YKK

 ■地域社会や自然との共生目指したまちづくり

 製造・開発の中核拠点である富山県黒部市で、豊富な地下水や風、太陽などの自然エネルギーを最大限活用した次世代集合住宅「パッシブタウン」の整備を進め、地域社会や自然との共生を目指した持続可能な社会づくりに取り組んでいる。

 社宅跡地を利用して2025年までに6街区約250戸の整備を予定しており、すでに3街区117戸の整備を完了。黒部川扇状地の豊富な地下伏流水や地域特有の季節風「あいの風」など自然エネルギーを最大限取り入れるなど、各街区で北陸地域の一般的な集合住宅に比べ約60%のエネルギー削減を目指している。

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 □奨励賞 東芝ライテック

 ■従来の光源に比べ消費電力85%削減

 GaN(窒化ガリウム)パワーデバイス搭載の「調光対応ハロゲン電球形LED電球」と「ミニクリプトン形LED電球」を世界で初めて商品化した。一般のシリコン半導体の約10倍の高周波動作により電子回路を小形化、生まれたスペースに独自開発の調光回路を搭載し、全光から消灯までちらつきを抑制した滑らかな調光を実現。ホテルや劇場などの演出シーンのLED化を促進した。蛍光灯、HIDランプなどの従来光源に比べ消費電力を約85%削減できる。さらに開発を進め、高出力の小形ドライバーを国際展示会に出展。世界初の照明製品への搭載は、異業種へも大きな可能性を示した。

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 □奨励賞 出雲西高等学校 インターアクトクラブ・環境福祉コース

 ■海から川、川から森へ広がる環境活動

 日本海岸の清掃活動(年5回)を40年間継続、「海を綺麗にするためには川を」「川を綺麗にするには森を」と、その活動領域をさまざまな環境活動へと拡大している。地域の海岸には韓国や中国などから流れてくるゴミが60%を占めるため、清掃活動では韓国の高校生との交流を開始し、韓国からのゴミ減少につなげた。汚染が心配される宍道湖ではヨシ植え、ヨシ刈り、浄化・水質検査などを実施している。また、NPO法人・もりふれ倶楽部と協力関係を結んでの森の伐採や枝打ち、松江市玉湯町花仙山での植林活動なども進めている。

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 <審査委員講評>

 □有馬朗人委員長(武蔵学園学園長)

 地球温暖化対策や持続可能な循環型社会の実現に向けた環境問題への取り組みは、産業界だけでなく各界・各層で一段と進んでいる。今回の審査を通じて、このことを実感できた。大賞を受賞した積水ハウスをはじめ、それぞれの企業・団体が「地球環境大賞」の理念にふさわしい活動を展開し、それぞれに成果をあげていることは大変喜ばしい。環境に対するこうした取り組みや姿勢が地球環境問題の解決につながることを大いに期待したい。

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 □阿部博之委員(科学技術振興機構上席フェロー)

 大企業は押しなべて熱心かつ多面的に環境問題に取り組んでおり、実績をあげている。世界の優良企業も環境対策の成果を目玉にしているところが多いので、世界から見て日本の企業はこの面はリードしているという評価が一層高まれば、なおいいのではないか。今後とも各社・各団体の健闘を期待したい。大学は、深刻化する地球環境の諸課題に対して、本来の役割である研究・教育の実績を踏まえつつ、世界に対する警告などのメッセージ性をより重視してもよいのではないか。

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 □茅陽一委員(地球環境産業技術研究機構理事長)

 応募内容は3つのタイプに大別され、企業からは自社の製品や生産活動を通じて環境へのプラスインパクトを押し出した内容が多い。第2のタイプは自己の行動を資源環境問題への対応として望ましい形態にしようと努めるもので、大学などに多くみられる。第3は里山の保全など自己の周囲環境の調査・改善を具体的に行って、その環境の状況改善に資することを目的とするもの。今回は積水ハウスのエコタウンが環境にとって非常にプラスのインパクトがあった。

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 □黒田玲子委員(東京理科大学研究推進機構総合研究院教授)

 国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)が国内でも知られるようになり、今回の応募書類にもSDGsを直接記述しているところが目についた。地球環境保全の深刻さ、緊急性は広く理解されており、地域の環境は地域で守るという精神で、多くのすぐれた活動が展開されている。積水ハウスのスマートタウンの取り組みは大いに評価できる。また、高校生の環境活動に素晴らしいものが見受けられた。

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 □合志陽一委員(国際環境研究協会顧問)

 受賞企業の環境活動内容は多くの応募の中から選ばれたものであり、いずれも優れた提案である。今回は受賞を逃したものの、環型蛍光灯のLED化に挑んだアイリスオーヤマの提案が印象に残った。光源の構造を徹底して改変・改良して効率を大幅に向上、製造プロセスも部品から根本的に変えている。今後の発展が期待できるが、新しい技術だけに注意深く発展・成長を見守る必要がある。

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 □徳川恒孝委員(世界自然保護基金ジャパン会長)

 どの応募案件にも真摯(しんし)な努力がにじみ出ていた。今回の審査を通じて感じたことは、各企業が独特のマテリアリティー(企業がその事業活動によって社会に与える影響とそこから生じる社会的課題)を正しく認識し、それに対して素晴らしい取り組みをしているという点。それと同時に、世界に対して強い影響を持っているかどうかも確認でき、もっと世界に発信していくべきことが多いと感じた。

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 □中村桂子委員(JT生命誌研究館館長)

 技術開発によってCO2排出削減や資源のリサイクルなど大きな成果を生み出す企業が増えている。また、鉄道・通信・電力・建設などさまざまな業種の企業が技術を組み合わせ、社会全体や街づくりをサスティナブルにする総合的な取り組みや活動を始めている。金融や販売などソフトの分野でも環境に関する新しい試みが出てくる一方、バイオ技術の分野でもようやく本物といえるものが出てきたことは心強い。

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 □池田三知子委員(日本経済団体連合会環境エネルギー本部長)

 今回は、発展途上国におけるSDGsに資する取り組みが目を惹いた。加えて、国際的なサプライチェーンを通じた取り組みやAI(人工知能)やICTを活用した技術開発も散見された。技術開発を通じて、環境問題に止まらず、発展途上国における人々の生活環境の改善にも貢献しようという、日本企業の意思が見て取れて、心強い。今後とも、より多くの企業が、地球規模の課題解決を意識しながら、イノベーションに取り組んでいくことを期待したい。 

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 ■私たちは地球温暖化の防止に積極的に取り組んでいます

 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

 旭化成株式会社

 アサヒグループホールディングス株式会社

 岩谷産業株式会社

 宇部興産株式会社

 株式会社エコリカ

 株式会社NTTファシリティーズ

 王子製紙株式会社

 株式会社大塚商会

 鹿島建設株式会社

 キヤノン株式会社

 キリンホールディングス株式会社

 グリー株式会社

 グローバル・リンク株式会社

 コスモエネルギーホールディングス株式会社

 サカタインクス株式会社

 サッポロホールディングス株式会社

 サントリーホールディングス株式会社

 Jパワー(電源開発)

 株式会社資生堂

 清水建設株式会社

 積水ハウス株式会社

 大王製紙株式会社

 大日本印刷株式会社

 大和ハウス工業株式会社

 株式会社竹中工務店

 TDK株式会社

 東急グループ

 東洋インキ株式会社

 東レ株式会社

 凸版印刷株式会社

 トヨタ自動車株式会社

 日本軽金属ホールディングス株式会社

 株式会社日本財託

 日本製紙株式会社

 パナソニック株式会社

 富士通株式会社

 本田技研工業株式会社

 森ビル株式会社

 YKK株式会社

 (2月28日現在)