メディアは「誤報謝罪」をためらうな 大手マスコミがここまで「謝りベタ」な理由 (2/3ページ)

産経新聞が2月8日に掲載した検証記事
産経新聞が2月8日に掲載した検証記事【拡大】

◆昨今目立つメディアの謝罪

 ここ数年でもっとも世間を騒がせたメディアの謝罪は、従軍慰安婦報道に関する朝日新聞の対応だろう。故・吉田清治氏の証言を鵜呑みにした朝日新聞が2014年8月5日の検証誌面にて関連記事16本を取り消し、謝罪した。

 最近ではフジテレビが2017年9月28日の『とんねるずのみなさんのおかげでした』の30周年特別番組で、石橋貴明が扮するキャラ「保毛尾田保毛男」を28年ぶりに登場させ、LGBTへの配慮が足りないとして炎上。宮内正喜社長が謝罪した。また同局は今月8日にも、登山家の三浦雄一郎氏(85)の写真に誤って「故・三浦雄一郎さん」というテロップを表示したことについて謝罪している。

◆「正義」を追及する側であろうと節度を持て

 メディアによるこうした謝罪は昨今目立つものの、元々メディアは謝罪がヘタクソである。その一方で、企業が不祥事を起こすと問題点を徹底的に追及し、記者会見では責任者らを容赦なく詰問する。

 2005年に発生したJR福知山線脱線事故の記者会見では、読売新聞の記者がJR西日本の幹部に対して暴言を吐き続けたことにより、ネットで炎上した。

 彼は「遺族の前で泣いたようなふりをして、心の中でべろ出しとるんやろ」「あんたらみんなクビや」「あんたら、もうええわ、社長を呼んで」などと会見に出席したJR関係者に暴言を吐き続けた。さすがにこの様子にはテレビ視聴者も辟易したようで「傲慢な読売のヒゲ記者」としてネットに批判が多数書き込まれた。いくら過失があったとはいえ、本来は謝罪をしたうえで真相の究明と問題解決のための道筋を示すすための会見なのに記者の私情(しかも世論を味方にしていると思い込んだ)により乱暴な言葉で糾弾し続ける様はあまりにも醜悪だった。

 読売新聞は当時の大阪本社社会部長名義の談話で「使命感や熱心さのあまりとはいえ、常に心がけるべき冷静さを欠いたと言わざるを得ません。日ごろの指導が生かされなかったことに恥じ入るばかりです」と謝罪をするに至った。

 この時、ネットの炎上から約1週間近く経っていたことから「遅い」という批判があったが、その通りである。「こりゃ収まらない炎上だな」ということは初日から明らかだったのに、読売の対応は後手にまわった。当件は、「記者だから何を言ってもいい」「事故を起こした当事者にはいくら暴言を吐いてもいい」ということに一般の人々が嫌悪感を抱いたために炎上し、即座の謝罪がなかったため、記者の正体暴きが開始した。これが示すのは、本来「正義」を追及する側であろうと節度を持て、ということだろう。同時に自分が過ちを犯した際も同様の糾弾を受ける覚悟を持て、ということもこの騒動は教えている。

謝ることを躊躇するな