山中所長を悩ませる予算不足の現状 論文不正は“研究者の薄給”を放置したツケ (1/9ページ)

 若手研究者の不安定な雇用が、さまざまな歪みを生んでいる。今年1月、京都大学iPS細胞研究所の助教(36歳)による論文捏造が発覚した。動機の背景には、成果を出さなければクビという焦りがあったと報じられている。日本の研究機関の予算は乏しく、山中伸弥所長も「期限付き雇用」を主張するしかないという現状がある。これでいいのか--。

 iPS細胞の論文捏造のウラにある「働き方」問題

 京都大学iPS細胞研究所で発覚した論文捏造問題が大きな騒ぎになっている。

 問題の論文は、研究所の助教(36歳)がiPS細胞(人工多能性幹細胞)から脳の血管内皮細胞を作り出すことに成功したという内容だが、それを裏付ける実験データに多くの手を加え、根拠のない成果を作り上げたものだった。

 iPS細胞の研究でノーベル賞を受賞した山中伸弥所長も1月22日の記者会見で捏造を認めて謝罪している。研究所のホームページで山中所長は以下のコメントを出している。

 「昨年(2017年)に発表された論文の一つにおいて、筆頭・責任著者であるiPS細胞研究所の教員(特定拠点助教)が、研究データの改ざんやねつ造を行っていたことが、学内の調査により明らかとなりました。多くの方から期待を頂いておりますiPS細胞研究所において、このような論文不正を防ぐことが出来なかったことに、所長として大きな責任を感じています。心よりお詫び申し上げます」

2018年1月22日、京大iPS細胞研究所の論文不正に関する記者会見に厳しい表情で臨む山中所長(写真=時事通信フォト)

2018年1月22日、京大iPS細胞研究所の論文不正に関する記者会見に厳しい表情で臨む山中所長(写真=時事通信フォト)

 iPS細胞の論文捏造といえば、2014年に一時はノーベル賞級と騒がれた理化学研究所の小保方晴子氏のSTAP細胞騒動を思い出す。

山中氏は捏造の原因や背景に言及していない