宇都宮のカラス博士 杉田昭栄教授の最終講義 「運命的な出会い」振り返る

最終講義で、カラスの剥製を手に熱弁を振るう杉田昭栄教授=3日、宇都宮市峰町の宇都宮大峰キャンパス
最終講義で、カラスの剥製を手に熱弁を振るう杉田昭栄教授=3日、宇都宮市峰町の宇都宮大峰キャンパス【拡大】

 カラスの生態に関する研究の第一人者、宇都宮大農学部の杉田昭栄(しょうえい)教授(65)が3日、定年退官の最終講義に臨んだ。約20年にわたるカラス研究を振り返り、カラスの知られざる生態やカラス研究の奥深さについて熱弁を振るった。

 カラス博士とも呼ばれ、大学でも多数のカラスを飼育する杉田教授。「ただいまカラスの勉強中-カラス学の勧め-」と題する最終講義は、同大峰キャンパス(宇都宮市峰町)の280人入る大きな教室で開かれ、学生だけでなく卒業生や一般市民も聴講に来て満席状態となった。

 同大近くに住む斉藤旭さん(83)は「カラスは利口と聞いているが、本当にそうなのか興味深い」。杉田教授が部長を務めた同大馬術部の監督として親交のあった金田利彦さん(73)は「杉田先生の区切りの講義。自分もカラスにも興味を持った」と話した。

 杉田教授は早くからカラスの知能の高さに着目。この日の講義では、カラスの脳と人を含む哺乳類の脳の違いについて解説し、さらにカラスの視覚に関する研究成果と鳥害対策への応用、道具を使うカレドニアガラスの話題など幅広く紹介。「実験用の鶏が襲われ、イタチの仕業と思っていたら、学生が鶏を襲うカラスを確認。変な生き物だと興味を持ち始めた」と、カラス研究を始めた20年前の“運命的な出会い”を振り返った。