東日本大震災7年 人手不足や販路なお壁厚く 被災事業者、再生に奮闘

東日本大震災で被災し、昨年再建された介護施設「ヨッシーランド」で談笑する職員や入所者ら=1日、福島県南相馬市
東日本大震災で被災し、昨年再建された介護施設「ヨッシーランド」で談笑する職員や入所者ら=1日、福島県南相馬市【拡大】

  • 被災からの再生を目指す水産加工会社「八葉水産」の清水社長。背後には建設途上のインフラの風景が広がる=2月、宮城県気仙沼市

 東日本大震災の被災地で進む、住まいやインフラの整備。その陰で、地域再生への課題は山積している。震災では地域を支える多くの企業や事業者が甚大な被害を受けた。国は二重ローンの負担を和らげる支援策と補助金を用意したが、失った販路の開拓や人手不足という壁は厚い。「業績回復か廃業か、選別が進むのはここからだ」。経営者には不安もよぎる。あの日から7年。真の復興へ、奮闘は続いている。

 ◆3年近く堂々巡り

 「一人でも多く入所者を迎え、地域に恩返ししよう」。福島県南相馬市の介護施設「ヨッシーランド」が昨年12月、6年9カ月ぶりに再開した。

 入所者やデイサービス利用者計136人のうち津波で36人が犠牲に。再建に立ち上がったが、補助金を得るのに銀行の融資証明書などが先だと言われる一方、その融資は補助金が決まらないとまとまらない。被災前の債務を抱え「3年近く堂々巡りになった」と池田幸事務長(65)は話す。

 2016年、東日本大震災事業者再生支援機構の関与で多額の債務カットが認められたが、再建地に選んだ山林は東京電力福島第1原発事故に伴い、自力での除染を迫られた。遠方への避難者も多く、再開した今もスタッフは30人以上足りない。「とにかく若い人がいない。人材難で他業種では廃業した所もある」

 津波の再来に備えた土地のかさ上げが終わらず、工事中の建物が目立つ宮城県気仙沼市。主力の水産業を中心に、以前の活気はまだ戻らない。

 イカの塩辛などを加工する全3工場を失った「八葉水産」は1年後に再建したが「現実は想像以上に過酷だった」と清水敏也社長(57)。スーパーなどの納入先は他社製品に切り替えており「お宅はもう要らないよ」。在庫が積み上がり、利益どころではなかった。

 ただ、二重ローンでは昨年4月に同機構の支援が決まり、イカの調達難でメカブに注力すると健康志向の強いアジア各国で手応えを得た。「スリム化してその分、新しいことに挑戦しよう」。人手不足にもがきながらも新たに台湾人社員を採用し、輸出拡大を狙う。

 長引く支援先の不振に震災支援機構も対応を模索する。東京都内の貸しスペースに支援先の製品を展示し「客の厳しい声を聞き、ニーズに合った商品開発を」と促す。一方、再生を難しくしたのは、復興政策が一因との声もある。気仙沼市では多くの企業がグループ補助金で過大な施設を造り、稼働率低迷に悩む事情があるからだ。国の昨年の調査でも、東北の同補助金支給先で売り上げが震災前以上に戻った企業の割合は45%。特に水産・食品加工業は29%と苦境を裏付けた。

 ◆支援策再考を

 16年まで東北経済産業局長を務め、兵庫県南あわじ市長に転じた守本憲弘さん(57)は首長の立場から「将来大震災が起きた際に、支援策の再考が必要だ」との思いを抱く。巨額の補助金は「早期再建には生きたが長期的な視点が欠けた」と自省し、現実的な経営計画を前提として公的融資を積極活用していく方法が有効だと考える。