【論風】米政府機関が危機を警告 現実の現象としての温暖化 (1/3ページ)

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 □地球環境産業技術研究機構理事長・茅陽一

 2月下旬、英紙フィナンシャル・タイムズに「米国が気候の危機を警告する」という記事が載った。米国のトランプ大統領が温暖化現象にきわめて懐疑的で、以前「温暖化は中国が中国のために、米国の製造業の競争力を落とすことを意図して作り上げたコンセプトである」と言明した、という話などを思い出すと、これはちょっとびっくりする記事である。

 トランプ政権に一石

 この記事は、米国が法律に基づいて4年に1度作る国家気候評価報告書の第1部が公表されたからのようだ。この記事では、多くの人がこの報告の原案についてはトランプ政権がけちをつけるのではないか、と危惧したようだが、結果として何の干渉も行われず報告書が発表された、とのことである。

 パリ協定を脱退すると声明し、石炭火力の推進を公言するトランプ氏がこれを読んでそのまま認定したとは思えないが、筆者も大きな興味をそそられ、その報告書を探して読んでみた。

 読んだ内容の基本の理解は、これは温暖化の現実の進行をはっきり肯定する報告書だ、ということである。最初の部分をみると、地球の地上温度、海洋表面温度、海面位、北極海氷量、北半球積雪量など9つの温暖化の指標になる変量の過去数十年から100年にわたる変化を取り上げ、そのいずれもが温暖化の進行を示唆する方向への変化(たとえば温度なら上昇、北極海氷量なら低下)を一途にたどっていることを示している。

一番気になった海面位のデータをみると…