【第27回地球環境大賞】(4-3)

授賞式会場の明治記念館に到着された秋篠宮ご夫妻=9日、東京・元赤坂
授賞式会場の明治記念館に到着された秋篠宮ご夫妻=9日、東京・元赤坂【拡大】

  • 授賞式で、壇上に勢ぞろいした受賞企業・団体の代表者=9日午後、東京・元赤坂の明治記念館
  • 阿部俊則氏
  • 有馬朗人氏
  • 淡輪敬三副会長(右)

 ≪大賞受賞あいさつ≫

 ■地域の災害対応力強化

 □積水ハウス会長・阿部俊則氏

 本日は、秋篠宮殿下、同妃殿下ご臨席の下、栄誉ある第27回「地球環境大賞」を頂戴し、誠に光栄に存じます。受賞者を代表し、一言、ご挨拶を申し上げます。

 今、われわれは多様な社会問題に直面しています。なかでも気候変動問題は日本のみならず世界的に見ても喫緊の課題です。これに対し積水ハウスは、住宅は社会の中心にあり、住宅から社会問題を解決できると考え、2008年には、日本企業で最も早く「脱炭素宣言」を行い、気候変動問題の解決にいち早く取り組んでまいりました。現在、当社が販売する住宅の70%以上がゼロエネルギーハウスです。これにより昨年は「経済産業大臣賞」をいただいております。

 今回、大賞としてご評価いただきました「東松島市スマート防災エコタウン」は、宮城県東松島市との共同事業で実現したものですが、先の震災で、東松島市は1カ月にわたる停電の被害を受け、患者さんが目の前にいながら、病院で治療ができないという状況に直面したそうです。このように日本は災害大国でもあり防災も大きな社会問題です。さらに、復興においては地方経済の活性化も問題です。

 このようなことから、この街では自営線で災害公営住宅85戸と周辺の4つの病院や公共施設を結ぶ、日本で初のマイクログリッドを構築し、再生可能エネルギーを地産地消できる街を実現しました。系統電力が遮断した場合にも、最低3日間、通常の電力供給が可能です。停電が長期化した場合にも、病院や地域の避難所となる集会所への電力供給が継続できるなど、地域の災害対応力と防災力を高めました。

 さらに、太陽光発電による電力を直接エリア内に売電することで利益を創出することができる新しいビジネスモデルを構築しました。売電による利益を地域に還元することで地域には雇用が生まれ、地域経済の活性化にも貢献します。

 このプロジェクトは、これまで積水ハウスが積み重ねて参りましたまちづくりの経験を生かした、日本初の、環境にやさしく、災害にも強く、地域経済活性化にも貢献する、全く新しいスマートタウンです。

 パリ協定以降、世界は脱炭素に向けて大きく動き始めました。積水ハウスも、今回の受賞を励みに、環境大臣認定「エコ・ファースト企業」として、先進性・独自性に富む地球温暖化対策など、わが国の地球環境保全の取り組みのさらなる前進に寄与する企業活動に邁進(まいしん)し、持続可能な社会の構築に貢献して参ります。

 最後になりますが、本主催者のフジサンケイグループをはじめ全ての関係の皆様にお礼を申し上げます。この地球環境大賞が、わが国を代表する環境顕彰制度として、より一層ご発展されますこと、そして、本日ご臨席の皆様のますますのご健勝を心より祈念いたしまして、私のご挨拶とさせていただきます。

                  ◇

 ■地産地消モデルとして高く評価

 □審査委員長講評・有馬朗人氏

 本日は、秋篠宮同妃両殿下ご臨席の下、第27回「地球環境大賞」の授賞式がこのように盛大に執り行われましたことを、お喜び申し上げます。審査委員を代表し、審査結果について講評いたします。

 今回は、企業や団体、学校など全国から合計106件の応募がありました。いずれも、「地球環境大賞」の理念にふさわしい優れた内容で、大いに成果を上げており、今回は温暖化防止や防災性能の向上を図り、地域経済の活性化にも貢献する「東松島市スマート防災エコタウン」をはじめ、全国16カ所で環境にやさしいスマートタウンを展開している積水ハウス株式会社に「大賞」を授与することといたしました。

 同社は前回、ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)の普及で「経済産業大臣賞」を受賞しており、2年連続の受賞となります。「東松島市」での取り組みは、太陽光発電の電力を固定価格買い取り制度(FIT)で売らず、自営線スマートグリッドを用いて街全体に供給するという地産地消モデルとして高く評価したものです。

 今回の応募企業・団体、とりわけ入賞候補者の取り組みはどれも大変立派で甲乙つけがたく、審査にあたっては非常に苦労したことをご報告しておきます。

 第27回を迎えた本顕彰制度が今後、ますます充実し、環境活動に積極的に取り組む産学官、市民グループの良き指針となることを願って、講評といたします。ありがとうございました。

                  ◇

 ■WWFジャパンに寄付目録

 レセプション会場では、地球環境大賞に特別協力しているWWFジャパンの淡輪(たんなわ)敬三副会長に、産経新聞社の熊坂隆光会長から寄付目録が手渡された。

 挨拶に立った淡輪副会長は「地球に対する環境負荷は年々増えており、持続可能な社会の実現にはまだまだ長い道のりがある。このため、皆様には今後もより一層、新しいチャレンジとイノベーションに励んでいただきたい。われわれも地球環境の保全およびサステナブルな社会の実現に協力させてもらうので、引き続きご支援をいただきたい」と述べた。