村上世彰氏らの刑事告発断念 相場操縦「起訴見込めず」 証券監視委

村上世彰氏(鈴木健児撮影)
村上世彰氏(鈴木健児撮影)【拡大】

 旧村上ファンドの村上世彰元代表(58)らによる相場操縦疑惑で、金融商品取引法違反(相場操縦)容疑で調査してきた証券取引等監視委員会が、東京地検特捜部への刑事告発を見送ったことが19日、関係者への取材で分かった。監視委は村上氏が株価を不正に下げた疑いがあるとみて平成27年11月に強制調査。刑事告発する方針だったが、検察の起訴が見込めないため断念した。

 関係者によると、監視委は、東証1部上場のアパレル大手「TSIホールディングス」(東京)株について、村上氏が26年6月と7月、安値で大量の売り注文を出すなどの方法で株価を不正に下げた疑いがあるとみて調査を開始した。

 村上氏は証券会社などから株を借りて高値で売り、値下がりした後に買い戻して差額を利益とする「空売り」という手法でTSI株を売却していた。

 村上氏は値下がり後、立会外取引で村上氏の関係会社から株を買い戻していたといい、村上氏側は監視委の調査に対し「空売りによる利益は出ていない」と主張。当時はできるだけ高値でTSI株を売却したかったとし「株価を下げる動機がない」と容疑を一貫して否定していた。

 村上氏側が調査を依頼した第三者委員会(委員長・元東京地検特捜部長の宗像紀夫弁護士)も28年3月、「相場操縦罪は成立しない可能性が濃厚」とした調査結果をまとめ監視委に提出した。

 監視委は株価を下げる相場操縦の告発は前例がなく、慎重に調査を進めてきたが、特捜部と協議した結果、売り注文に反応して多数の買い注文も入っており、市場参加者は株価が下がっていくと認識していなかった可能性もあることなどから、刑事事件として立件することは困難と判断したとみられる。