神鋼ブランド失墜 海外訴訟に影響も

神戸市中央区の神戸製鋼所神戸本社
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 神戸製鋼所によるアルミニウム製品などのデータ改竄(かいざん)問題が刑事事件に発展すれば、名門企業のブランドイメージ失墜は避けられない。4月に発足した新経営体制は出だしからつまずく。米国などでは訴訟が起きており、日本の捜査当局の動向は海外での責任追及にも影響を与えそうだ。

 グループにはびこった不正を受け、神戸製鋼は川崎博也現取締役が会長兼社長職を辞任するなど主要幹部が退いた。非主流の機械部門出身の山口貢・新社長は「閉鎖的な組織風土の改善をしていく」と強調。4月に体制を引き継ぎ信頼回復に取り組み始めたばかりだ。

 問題製品は納入先企業延べ688社のうち、3月末時点で延べ675社に関し一定の安全性を確認。業績への影響は100億円程度とし、中国市場の回復などで2018年3月期の連結最終損益は3年ぶりの黒字転換を見込んでいる。だが、今後の捜査次第で顧客離れが進む恐れが出てきた。

 カナダで消費者から損害賠償訴訟を起こされたほか、米国では神戸製鋼とトヨタ自動車を相手取り補償を求める集団訴訟が起きた。問題製品を米航空機大手ボーイングなどに納入していたことから米司法省が調査を進めており、米国でも刑事事件になって多額の罰金を科せられる恐れがある。

 米国がアルミの輸入制限を発動したことも懸念材料となり、先行きには不透明感が強まっている。