【松本真由美の環境・エネルギーDiary】占用ルール整備 洋上風力本格拡大へ (1/4ページ)

福島浮体式洋上ウインドファーム実証研究事業の下で設置された5メガワットの「ふくしま浜風」
福島浮体式洋上ウインドファーム実証研究事業の下で設置された5メガワットの「ふくしま浜風」【拡大】

  • 米GEが21年の市場導入を目指す12メガワット風車(同社提供)
  • 三菱重工業とヴェスタスの共同出資会社MHIヴェスタスの工場

 政府は3月9日、一般海域で洋上風力発電事業などを行う場合の占用ルールを定めた「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案」を閣議決定しました。既に国会に提出され、今国会での成立を目指して審議される見通しです。この法案が成立すれば、洋上風力発電プロジェクトを強力に後押しすることになります。

 一般海域の利用で法案

 沿岸から近い港湾区域については、2016年に港湾法が改正され、地方公共団体などの港湾管理者が公募で洋上風力発電事業者などの占用計画を認定(事業者を選定)し、長期にわたって占用できるようになりました。

 しかし、一般海域(領海・内水のうち、漁港、港湾区域などを除く海域)については、長期占用のための統一的なルールがありません。都道府県条例に基づく一般海域の占用許可は、期間が3~5年程度と短く、洋上風力発電のような中長期にわたる事業を実施するのは難しい状況でした。

 一般海域の占用ルールを定めた今回の法案では、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の認定を受けて、最大で30年間占用できるようになっています。

 法案では、まず政府が基本方針を策定します。その後、経済産業省と国土交通省が、農林水産省や環境省などと協議するとともに、関係者からなる協議会などの意見も聞いた上で、洋上風力発電事業の「促進区域」を指定し、地元との調整の枠組みを定めます。占用事業者を公募で選定するための公募占用指針の策定も行います。

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