外国客体験記の掲載で魅力を世界へ 大阪観光局が目指す「訪日客の多様化」、その狙い (2/3ページ)

多くの観光客が買い物袋を手にミナミを歩いていた=3日午後、大阪市中央区(須谷友郁撮影)
多くの観光客が買い物袋を手にミナミを歩いていた=3日午後、大阪市中央区(須谷友郁撮影)【拡大】

  • 来阪インバウンドの国・地域別内訳

 そこで大阪観光局は、観光客層を広げようと、関西を旅行した米国人ライターらが書いたルポルタージュをサイトに掲載。買い物や食事よりも、旅行先の歴史に関心が高い欧米人向けに神社仏閣や史跡、伝統などを詳しく記している。

 宗教や文化の違いに配慮した食の情報発信も充実。豚肉やアルコールなどの摂取を禁じるイスラム教の戒律に適した食事を提供する店や礼拝できる場所を載せたガイドブックのほか、ベジタリアン(菜食主義者)向けのパンフレットの配布も始めた。東南アジアでは現地開催の旅行博への出展のほか、割安で観光地を巡ることができる「周遊パス」の販売を促進。SNS(会員制交流サイト)での旅行体験の発信を呼びかけている。

 観光局はこれらの施策を通じて平成30年度は欧米豪からの大阪への旅行者を前年より計1割増やし、ベトナム、フィリピン、インドネシアからは計3割増やしたい考えだ。

 多くの外国人観光客でにぎわう日本だが、限られた地域からの旅行需要に頼ることは禁物だ。外交関係の悪化によって旅行者が激減し、経済的な痛手を負う危険性が大きくなるからだ。

2012年の苦い経験