新日プロがV字回復、業績過去最高へ 1円からコスト削減 「プ女子」や外国人も熱狂 (1/4ページ)

 アントニオ猪木が創業し、有名レスラーを輩出した新日本プロレスリング(東京)の業績がV字回復している。2018年7月期の売上高が、ドームプロレス全盛期で“闘魂三銃士”が活躍した1998年の実績を20年ぶりに塗り替える見通しだ。(東京商工リサーチ特別レポート)

 娯楽の多様化などで興行収入が落ち込み、5年前は債務超過の厳しい経営状態だった。そこから徹底的に無駄を省き、女性や外国人の顧客を増やした。日々の努力の甲斐もあってわずか5年で無借金経営に大きく改善した。

 今年5月、新社長に玩具大手タカラトミー社長だったオランダ国籍のハロルド・ジョージ・メイ氏を招聘。海外試合や動画配信の分野をさらに伸ばすビジネス戦略を描いている。

満員の東京ドーム(新日本プロレス提供)

満員の東京ドーム(新日本プロレス提供)

◆黎明期から成長、成熟を経て混迷時代へ

 プロレスは昭和を代表する娯楽のひとつだった。ビール片手にゴールデンタイムの金曜夜8時、世代を問わず誰もがテレビの前で熱狂した。

 プロレスのテレビ中継は一流のスポンサーが付き、アントニオ猪木をはじめ、藤波辰巳(現在:辰爾)、長州力、前田日明が黄金時代を飾った。

 その後、“闘魂三銃士”の武藤敬司、蝶野正洋、橋本真也などのスター選手も活躍。東京ドームや大阪ドーム(当時)を満員にするドームプロレスが開花した。業績も1998年の売上高は39億3000万円とピークに達した。

ユークス支援で改革が始まった