南海トラフ被害1410兆円 長期推計 巨大地震「国難」レベル

 東海地方や西日本を中心に大きな被害が想定されている南海トラフ巨大地震が起きた場合、地震の揺れや津波による道路など公共インフラの損害で長期的に1410兆円の被害が生じるとの推計を7日、土木学会が公表した。学会は「国難」レベルの災害になるとして、対策の強化や都市機能の分散を進めるべきだとしている。

 土木学会の委員会が公表した報告書によると、南海トラフ巨大地震の発生から、経済がほぼ回復するとみられる20年後までの間に、インフラの破損などに伴う経済活動の低迷で1240兆円、建物や工場、個人の資産で170兆円が失われるとした。

 南海トラフ巨大地震で政府は経済的被害を220兆円と推計しているが、土木学会の推計はこれを大きく上回り、本年度の国の一般会計予算である97兆7000億円余りの約14倍となった。

 このほか、東京周辺を直撃する首都直下地震では計778兆円、大阪湾や伊勢湾の巨大高潮ではそれぞれ121兆円、19兆円と見積もった。巨大災害の経済被害をめぐっては、政府が短期的な被害想定を公表しているが、20年後までの長期的な推計は初めて。

 15年以内に堤防や道路を強化するなどの有効な対策を進めれば、南海トラフ巨大地震では509兆円、首都直下地震では247兆円の損害を防ぐことができるとしている。

 同学会は東京一極集中の緩和や、防災機能を重視したインフラ整備が必要と提言。今後、報告書を政府に提出するとしており「長期計画を立て、対策の優先順位を検討してほしい」としている。

 土木学会の大石久和会長は7日の記者会見で「最大の経済圏である首都圏への人の流入が止まらない。そこに大災害が起これば日本は世界の最貧国になりかねない」と話した。