【生かせ!知財ビジネス】日本特許情報機構「特許ライティングマニュアル」改訂

 “人にも、機械にも分かりやすい日本語の文章を、いかに書くか”-。日本特許情報機構(Japio、東京都江東区)はこのほど、特許明細書の執筆者向け手引書として、「特許ライティングマニュアル」(第2版)を公開した。2013年の初版から5年、初の改訂版となる。同機構のホームページから無料でダウンロードできる。

 マニュアルの基本的な狙いは、特許明細書における「文章の理解容易性と明晰(めいせき)性」「機械(コンピューター)翻訳での精度」を高めることにある。特許明細書は専門的な用語や解説の並ぶ技術文書であり、特許権を示す権利文書でもあるが故に、文章が複雑で長く、抽象的となり、第三者が読みにくい文章になりがちで、機械翻訳されると意味不明の文章になってしまうことが少なくないからだ。誤訳では、世界の人々へ日本発の発明が正しく伝わらない可能性が生じる上に、今後に予想される人工知能(AI)技術の活用にも不安を残す。

 改訂で同機構は、特許明細書の分析と近年の機械翻訳技術を踏まえ、執筆時に検討すべき「7つのカテゴリー」に属する27のルールをまとめ、例文とともに解説している。例えば、マニュアルで最初に検討すべきカテゴリーとされる「短文にする」では、「説明語句が長いときは、短く分ける」「複数の主語や述語を含むときは、文を分ける」など4つのルールを示している。

 改訂を担当した横井巨人・特許情報研究所調査研究部長は、マニュアルについて「日本には日本語というハンデがある。機械が処理しやすい文章を作ることで言語の壁を一気になくしたい。また、世界で大量に生まれる特許明細書の情報処理、分析には機械による人間へのサポートは不可欠。その精度を上げるには、元の特許明細書を良くしていくことが実は重要だ」と説明。特許だけでなく、ビジネス文書にも応用できるとしている。

 同機構は、わが国の国際的な産業競争力を強化するため「産業日本語」の必要性をかねて提唱してきた。09年に専門家の交流の場として産業日本語研究会を発足させ、特許文書、ライティング、文書作成支援の各分科会を設け、マニュアルの開発を進めてきた。文章研究は他の分野でも行われており、昨年から技術文書など近接分野との研究連携も始めている。(知財情報&戦略システム 中岡浩)